黒田兵衛の正体を考察!ラムではない根拠と浮かび上がる公安説【名探偵コナン考察】

 

警視庁捜査一課の管理官・黒田兵衛。

「隻眼の大男」という特徴と「10年近く意識不明だった」という出自の怪しさから、ラム候補者の一人と目されている人物です。

しかし、調べてみるとラムである可能性は低そう。さらには映画「ゼロの執行人」でも共演する安室透との関係性も見えてきました。

今回は、そんな黒田兵衛を徹底考察。コナンの実力を知っている理由についても探りつつ、その目的と正体を考えてみます。

 




黒田兵衛はラムではない

さて、まずは気になる「黒田兵衛はラムなのか?」というテーマから。結論から言うと、彼はラムではないと思います。根拠は以下の2つ。

  1. 灰原に興味を示していない
  2. コナンの実力を知っている

それぞれ解説していきますね。

 

▼2018.4 追記 「ゼロの執行人」感想・考察もアップしました。

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2018年4月20日

 

根拠1. 灰原に興味を示していない

名探偵コナン87巻より引用

黒田は灰原と至近距離から顔を近づけています。にも関わらず、それ以降灰原に注目しているシーンは一切なし。黒田がラムだったなら、灰原に興味を示さないのは不可解です。

 

ラムは少なくとも、羽田浩司事件のあった17年前には組織に所属しています。つまり、幼少期の灰原の顔を見たことがあるはず。さらに言えば、17年間ベルモットの姿に変化がないことも知っているため、老化ないしは幼児化という現象についても知っています。

となると、ラムが灰原の顔を見れば、シェリーだと気づくのは確実。実際、赤ん坊の頃(※)に面識がある以外は同条件だったピスコも、灰原の正体を見抜いています。

(※宮野夫妻が亡くなったのは「灰原が生まれて間もなく」なので、灰原が彼らとともにピスコと会ったのは0〜1歳の頃)

 

灰原「もしも本当にあの黒田って人があなたの疑うラムで…私の顔をあんなに近くで見たのなら…私が組織を裏切ったシェリーだと感付いて今頃はもう博士の家に押し入っているはずだけど…」
(名探偵コナン87巻より引用)

このセリフはごもっとも。灰原と面識がある人物は自動的にラム候補から外れるので、同様に若狭留美もシロですね。ついでに言えば、黒田に至っては灰原センサーにも引っかかっていません。

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2017年12月7日

 

根拠2. コナンの実力を知っている

二つ目の根拠は、コナンの実力を知っている点。ここでの「実力を知っている」とは、高木刑事や佐藤刑事のように「なんだか頭の切れる子供だなあ」という抽象的なレベルではなく、「事件の推理を任せられる」と確信できるレベルのことです。

高木「け、警部!コナン君の指示通りにしろと…か、管理官が…電話で…」
(名探偵コナン87巻より引用)

黒田はコナンの推理力を信頼し、コナンの指示通りにするよう高木刑事に命じています。つまり、大人である高木刑事や目暮警部より高い推理力の持ち主だと確信している。また、黒田はコナンを「眠りの小五郎の知恵袋」とも呼んでいますが、コナンの実力を知りながらそのあだ名を使っているとしたら、眠りの小五郎のトリックさえも知っていることに。

 

しかし、ここで浮上するのが「黒田はなぜコナンの実力を知っているのか」という疑問。

黒田は眠りの小五郎を見たことがないため、コナンの行動を見て自ら実力を見抜いたわけではない。そもそも作中トップクラスの観察力を持つ安室ですら、眠りの小五郎を見破るまでは時間を要しました。

つまり、黒田は別の情報源を持っているということ。

黒田「眠りの小五郎の知恵袋…警察庁内ではそう噂されていたよ…江戸川コナン君…」
(名探偵コナン87巻より引用)

黒田はこのように話していますが、噂話程度では「事件の推理を任せられる」レベルにはならない。黒田に情報提供したのは、コナンの実力を明確に知っている人物なのでしょう。しかも、もらった情報をそのまま鵜呑みにできるほど信頼している人物。

 

もし黒田がラムだったなら、それは組織のメンバーということに。

しかし、組織内でコナンの実力を知っているベルモット、バーボン、キールは、ラムに情報を漏らさないはず。ベルモットはコナンを守ろうとしていますし、バーボンは「コナンと蘭に危害を加えない」ことをベルモットと約束している。キールに至ってはコナンと共謀しているため、ラムに情報を流すと自らの立場も危うくなります。

 

つまり、黒田の協力者は組織ではなく、別の勢力。それが誰なのかは後ほど説明しますが、これにより黒田=ラムである可能性はかなり下がりましたね。

 

根拠3. ラムは工藤新一の情報を知らない

ラム「工藤新一の情報を要求する Time is money! 急げよバーボン」
(名探偵コナンFile.1008より引用)

また、1008話でもラムは工藤新一の情報をバーボンに求めています。つまり、新一の情報を知らないということ。

一方で、組織のナンバー2であるラムは、幼児化や不老といった組織の研究は知っているはず。ラムがもしコナンの実力を知っていたら、「コナン=新一」と推理するのは難しくありません。

逆に言えば、コナンの実力を知っている人物はラム候補者から除外される。この意味でも、黒田や若狭はラムではないと考えられます。

 




黒田の協力者“X”は誰なのか?

では、その黒田の協力者、仮に“X”とは何者なのでしょうか。

前述の通り、警察庁内での噂話ではありません。そもそも警察庁は、ざっくり言うと警察機関を統括する組織で、現場には出てこない。つまり、そんな噂があったとしても、それはコナンを実際に見たことがない人の立てた噂なので、黒田も信じたりしないでしょう。

また、警察関係者が評価しているのはあくまで毛利小五郎。黒田がもし警察庁内での噂話を頼りにしているなら、コナンではなく小五郎に期待を寄せているはずです。

 

となると、やはりXはコナンの実力を明確に知っている人物。灰原や服部、先ほど否定したベルモットなどを除くと、候補者にあがるのは以下の5人です。

  1. 世良真純
  2. 領域外の妹
  3. 若狭留美
  4. 水無怜奈
  5. 安室透

一人ずつ検証してみましょう。

 

世良真純、領域外の妹、若狭留美ではない

まずは①世良真純と②領域外の妹、③若狭留美ですが、この3人はないですね。世良と領域外は関連性を示す描写がなさすぎますし、若狭に関してはキャンプ場の事件でお互いに探り合っているためシロ。

ついでに書いておくと、X=赤井や優作でもありません。赤井は今さらFBIの新キャラを出しても仕方ないのでありえませんし、優作の「インターポールの友人=黒田」だったという線も後述の理由からなさそう。

 

X=水無怜奈、黒田=CIAの可能性はある

次にX=水無怜奈というパターンですが、これはありえます。

水無怜奈は現在、CIA捜査官として組織に潜入しつつ、そこで得た情報をFBIにも流しています。この特殊な状況は、そこに至った経緯も含めて必ず上司に報告しているはず。つまり、じつはCIAの上層部にコナンの実力は割れています。

 

一方で、水無の組織内での立場は相当やばそう。バーボンの情報を流してきた時点でも隠れながらの電話だったのに、ラムの情報を流してきたときには「RUM」というわずか3文字だけのメール。監視や盗聴をつけられている可能性は高いです。

となると、CIAとしても水無を援護する人材を用意しそうなもの。実際、赤井の潜入時にはジェイムズたちが、安室にも風見などの部下がそれぞれサポートに回っています。同様に水無にもCIAの仲間はいるはず。

その仲間こそが黒田だとしたら筋は通ります。

 

灰原「アマンダはFBIやCIAにも顔が利く人物だったらしいし…」
(名探偵コナン89巻より引用)

そして、羽田浩司事件のときに殺害されたアマンダ・ヒューズが、FBIやCIAに顔が利く人物なのもポイント。この設定的に、アマンダと面識のあるFBIやCIAのキャラクターが登場する展開はありえます。筆頭候補はジェイムズですが、黒田がそうだとしてもおかしくないのでは。

 

とはいえ、黒田と水無の関連性を示す描写がないことや、今さらCIAを掘り下げてどうするのか、という反対材料も。X=水無の可能性はあるものの、現状では深読みしすぎな気がするのが正直なところですね。

 

X=安室透、黒田=公安の可能性もある

個人的に本命はX=安室透、黒田=公安という説。安室ほどの実力と愛国心の持ち主なら、黒田の信頼を勝ち取れるのも納得がいきます。

なにより安室は、眠りの小五郎のトリックを知っている数少ない人物。黒田もコナンを「眠りの小五郎の知恵袋」として認識しているので、両者の情報は一致しています。これがもし水無なら、コナンを「眠りの小五郎の知恵袋」というニュアンスでは上司に報告しないはず。

 

安室「撤収してください…上には僕の方から話しますので…」
(名探偵コナン85巻より引用)

リーダー的なポジションにいる安室ですが、上司の存在をほのめかしています。公安の上司といえば、統括者の役割を担う「裏理事官」ですが、黒田がそうなのかも。黒田の「警察庁内で噂だった」という発言も、警察庁公安部に所属する安室からの情報だったならあながち嘘ではないことに。

 

(名探偵コナン93巻より引用)

この描写から察するに、黒田は羽田浩司の遺体を直接目撃している可能性も。つまり、羽田浩司の死後、黒田は現場に訪れているのかもしれません。

第一に考えられるのは、捜査員として日本から現地へと赴いたケース。将棋の四冠王だった羽田浩司はおそらく、“棋界の顔”とも呼ぶべき国民的スターだったはず。日米の合同捜査を敷かれた可能性は大いにあります。

また、公安は海外駐在員も積極的に派遣している機関。公安庁の公式サイトによると、研修中には英語、韓国語、中国語、ロシア語、アラビア語まで教え込まれるとか。確かに公安のミッションの一つはテロ対策で、たいていのテロ組織は海外にある。もしかしたら黒田は、アメリカに駐在していた捜査員だったのかもしれません。

 

黒田兵衛の過ごした空白の10年の意味とは?

上原「顔の包帯を取った看護師が腰を抜かしたらしいわよ…真っ黒だった髪が事故のストレスで白髪に変色してまるで別人のようだったそうだから…」
(名探偵コナン86巻より引用)

黒田は事故に遭い、10年近くも意識不明のまま入院していたとか。しかも、顔の包帯を取ったら髪が白髪に変色し、まるで別人のような姿になっていたと言います。

これ、黒田兵衛の正体は文字通り別人なのではないでしょうか。

 

そもそも黒田の年齢は50歳なので、黒髪が白髪になるのは普通。看護婦が腰を抜かすほど驚いたのは、人相が別人並みに変わっていたからと考えたほうが自然です。

 

また、黒田がもし本人だったなら、10年前の事故は組織の手で引き起こされた可能性が高い。でなければ、なんの意味もない設定になってしまいますからね。

しかし、それだと「黒田兵衛」という名前をそのままにしておくのはかなり危険。また組織に命を狙われる羽目になります。

つまり、「黒田兵衛」という人物は組織からノーマークであり、10年前の事件にも組織は関与していない。そんなキャラクターを登場させる意味があるとすれば、それは別人が黒田とすり替わっているから。

 

流れはこうです。

彼は公安またはCIAの捜査官。そして、彼の所属する機関では、警視庁内の高いポストに潜入捜査官を送り込むことを画策していた。目的は警視庁にしかない情報の入手か、警視庁内に組織の関係者がいるか。

しかし、いきなり高いポストへと人材を送り込むのは難しい。そこで目をつけたのが、長らく意識不明の警察官・黒田兵衛だった。

 

ここから先は完全に妄想ですが、本物の黒田はすでに意識を取り戻しているとか。で、現在の黒田から交渉を受け、すり替わることを承諾した。しかし、見た目は火傷跡などで誤魔化すことはできても、完全な記憶の共有はできない。「所々細かい記憶が抜け落ちている」と言っているのは、それを不審がられないようにするため。

 

ちなみに、この仮説が正しかった場合、「黒田=優作のインターポールの友人」説は否定されます。さすがに別人にすり替わって警視庁に潜り込むのは犯罪ですからね。優作はもっとクリーンなキャラクターとして描かれていますし、こういった「目的のために手段を選ばないやり方」は、公安やCIAの専売特許。

とはいえ、この仮説では「黒田=公安」の可能性は低くなるのも確か。いくら警察庁と警視庁が不仲でも、情報を共有したければもっと手段がありますからね。一方で、「黒田=CIA」となると関連性を示す描写がなさすぎる。

どちらも決め手に欠けるので、また別途考察したいと思います。

 

考察の結論

ということで、今回はここまで。1008話での黒田の意味深な笑み、紅茶党である理由、そして羽田浩司事件との関わりについてはまた別途記事にしますのでよろしければ。

映画「ゼロの執行人」はテロ組織との戦い。公安説が正しければ、黒田の見せ場には期待大ですね。

3 Lines Summary

  1. 黒田兵衛はラムではない
  2. 黒田兵衛は公安またはCIAの捜査官
  3. 白髪になって別人並みに変貌したのは、その捜査官によってすり替わられているから
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4 件のコメント

  • 考察、読ませていただきました!
    僕も、黒田=裏理事官説は映画後友達に推してました(笑)。
    根拠として、(映画のネタバレになるので、まだ見ておられない方は読み飛ばしてください。)まず、安室に囁いたあの唇の動きはバーボンとすると、それが言える人ってものすごく限られてくると思うんです。具体的には、組織の人間か安室を組織に送り込んだゼロの上層部しかいないと思います。黒田≠ラムは、この考察で述べられてあるので省きます。そうすると、やはり、黒田はゼロの上層部で、かつ映画で話題となった裏理事官とみるのが自然かと。さらに、黒田は、国家安全保障会議かな?と思われるシーンで、警察庁警備局の担当者に情報を伝えていました。あれは、ただの(っていったらだめですね、偉い人ですけど。)の警視庁捜査一課の管理官がやっているのはあまりに不自然な行動ではないかと思います。そもそも、ゼロ所属の人間と接触できる警察官が限られているのは、映画でコナンが言っていました。にもかかわらず安室と電話をしているところも、ただの管理官ではないことを示しています(松本前管理官がそんなことするのはちょっと個人的には想像がつきませんし)。
    85巻で安室が公安の上の存在を暗示させて、86巻で黒田が出てきたのは偶然ではないかな、と考えています。その後すぐに警視庁に転勤してきたのも、偶然ではないと思います。
    拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。今後もたくさん考察していってください!

  • 鋭いご意見ありがとうございます!

    ご指摘の通り、私もあのシーンは国家安全保障会議だと思います。脚本家が「相棒」なども書いている社会派のライターであることを考えても、そういった裏設定はしっかり存在するはずですし。確かに、松本管理官ではイメージつきませんね(笑)。

    また、ゼロの所属者は警察内でトップシークレットとされているのもおっしゃる通りで、実際に伊達刑事は安室の行方を知りません。つまり、そういった公安の特性を青山先生も理解した上で書いているので、安室を公安だと知っている時点で黒田もほぼ公安なんですよね。

    鋭い着眼点の考察、楽しく読ませていただきました!またご意見お待ちしております。

  • 初めてまして!
    考察読ませて頂きました!
    なかなか鋭い考察で自分の推理力と考察力のなさに実感致しました 私も黒田がラムの可能性は0であると考えています。もし組織のメンバーであれば34巻においてベルモッドに捜査資料を盗ませた意味がなくなり、降谷が公安であることが筒抜けになってしまうと考えたからです。そして最後の考察の人物のすり替えの所ですが、赤井務武説があるのではないかと私は考えています。 10年前の突然の失踪及び遺体不明のことから生きている可能性は十分にあり得ると思っています

    • お返事遅くなりすみませんー!コメントありがとうございます。

      ベルに捜査資料を盗ませた意味がない、というのも確かにですね。それも根拠のひとつになりそうです!

      務武に関しては生きてるかもなーとは思ってるんですが、変装を伴わないといけない形では出てこないと踏んでるんですよね。あれは一部のキャラ限定の能力なので。

      特に黒田の場合、別人のように人相が変わって登場したのは変装術がないからこそなので、なおさら変装が絡んでくる可能性は低いんじゃないかなーと思います。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    子供の頃にベルモットの変装トリックに騙されて以来、生粋のコナンファン。考察は「DEATH NOTE」などにも似た頭脳エンタメだと思います。読み物として面白くなるように「わかりやすさ」と「サプライズ」を大切にしています。本業も物書き。