名探偵コナン1031話「ヤバイ感じが…」の感想&考察です。
今回の描写で、黒田兵衛の正体は決定的になったと思います。また、高明が黒田の言う「大事」に参加した可能性も出てきました。
ということで今回は、
- 決定的になった黒田の正体
- 高明の“あの言葉”の意味
- 黒田は高明を「大事」に巻き込んだ?
- 今後の安室と高明の関係について
など、名探偵コナン1031話から気になったシーンを考察します。
黒田兵衛の正体は「公安の裏理事官」
さて、まずは前回の答え合わせ。1031話の描写により、黒田兵衛の正体は公安の裏理事官で確定したと思います。
前回の時点で、安室が脇田に疑われないためには、高明を口止めするしかありませんでした。あのまま長野県警が駆けつけていたら、高明は安室に「降谷零」として接してしまいますからね。
そして今回、高明は安室に反応しなかった。
これは、黒田が電話で高明を口止め、あるいは口止めを兼ねた何かを伝えたことを示しています。それ以外に、高明が安室に反応しなくなる理由は考えられません。
つまり黒田は、
- 降谷零、安室透、バーボンというトリプルフェイスすべてを知っている
- 安室の正体がバレないように便宜を図る
という人物。正体は公安で確定です。
ゼロである安室に指示を出していることを踏まえると、裏理事官の可能性が高いですね。
これまでも黒田は公安の裏理事官なのが濃厚とされてきましたが、今回のシリーズで疑惑は確信に変わったのではないでしょうか。
今後の安室と高明の関係について
次に考えていきたいのが、今後の安室と高明の関係について。
今回のシリーズを経て、高明は黒田と繋がりました。これはつまり、安室と高明も連絡を取れるようになったことを示しています。
安室透という人間にとって、高明との再会は転機になるかもしれません。なぜなら安室と高明は、極めて近い境遇の持ち主だから。
安室にとって高明は、景光の死を共有できる唯一の人物。さらに、安室は初恋の人と警察学校組、高明は憧れの人と両親をそれぞれ失っています。
違う点があるとすれば、景光の死の受け止め方。
高明「人生、死あり…修短は命なり…」
(名探偵コナン1021話より引用)
高明は景光の死を「天命を全うした」と考えているのに対し、安室は「赤井が自決を促した」という誤解により、完全には受け止められていない印象です。
しかし、今後その誤解は解けるはず。もしかしたら工藤家のお茶会で、安室はすでに真相を知っているのかもしれません。
そうなったとき、安室の心に唯一踏み込めそうな高明が、景光の死を受け入れるためのヒントになる。そんな展開もあり得るのではないでしょうか。
今回の事件、結局は犯人の西野が「情報共有をしていなかった誤解」による犯行でした。
これは安室と赤井、景光の関係を暗示しているのかもしれません。だとしたら、今回のシリーズで安室と繋がった高明が、安室の内面に影響を与える可能性もあるかなと。
もう一つ、安室と高明が違うのは、高明には大和がいる点。
安室にとってそのポジションになれる人物がいるとしたら、皮肉にも同じレベルで物事を考えることができ、同じ性格の人間を好きになった赤井だけです。
おそらくラム編のラストでは、赤井と安室の共闘を見られるはず。その後の2人の関係にも注目したいですね。
高明の「時は金なり」のセリフの意味とは?
そして今回の最大の見どころである、高明が心のなかで呟いたこの言葉。
高明「時は金なり…と言いますしね…」
(名探偵コナン1031話より引用)
一見すると、高明が「脇田兼則=WAKITA KANENORI=TOKIWA KANENARI」のアナグラムを知っているようにも見えるこのシーン。
果たして高明は、どんな意図でこの言葉を使ったのでしょうか。
考えられるパターンは3つ。
- 時は金なり=脇田兼則のアナグラムだと理解して使っている。その理由は、脇田の名前を黒田に教えられたから。
- 時は金なり=脇田兼則のアナグラムだと理解して使っている。その理由は、脇田の名前をその場で聞き、瞬時にアナグラムだと推理したから。
- 時は金なり=脇田兼則のアナグラムだと理解していない。この言葉を使ったのは偶然。
それぞれ検証していきましょう。
1. 脇田の名前を黒田に教えられた
シンプルに、脇田の名前を黒田から聞いていたパターン。これが最も可能性が高いと思います。
その理由は情報の流れです。
まず、安室はラムを「せっかち」と評しており、脇田のアナグラムを知っています。この情報を最初に入手したのは、バーボンである安室。
そして、この情報を確実に知っているもう一人の人物が、安室の上司である黒田。これまでの行動を見ても安室は公安に忠実なので、少なくともお茶会の件以外は黒田に報告しているはず。
高明は今回、そんな黒田と電話した直後に「時は金なり」を使ったということ。普通に考えたら、安室→黒田→高明の順番で情報が流れています。
2. 脇田の自己紹介を聞き、自らアナグラムだと推理した
続いて②「脇田の名前をその場で聞き、アナグラムだと推理した」ですが、この可能性は低いと思います。
理由はシンプルで、脇田が自己紹介したシーンで高明はまだ車内にいるから。つまり、そもそも脇田の自己紹介を聞いていません。
車の窓越しでも聞こえた可能性はありますが、その解釈はやや強引。
「瞬時にアナグラムを推理した」という展開がすでに複雑なので、それなら脇田の自己紹介を聞いていることはもっとわかりやすく描写するはず。
このシーンは「聞こえていてもおかしくないシーン」と解釈するのではなく、むしろ「聞こえていないことを示しているシーン」と考えるべきではないでしょうか。
つまり、高明は脇田の自己紹介を聞かなくても名前を知っている。それを示すために、高明が車内から登場する演出にしたということ。
3. 高明は脇田のアナグラムを理解していない
最後は③「高明は脇田のアナグラムを理解していない。この言葉を使ったのは偶然」というパターン。この可能性はゼロではないと思います。
なぜなら、今回の「時は金なり」というセリフは、1029話で登場した「せっかち」というヒントの答え合わせになっているから。
そもそも青山先生は、今回のシリーズを「脇田のアナグラムのヒントを出すシリーズ」として位置づけていたと思います。そして、1029話で「せっかち」というヒントを出し、1031話の「時は金なり」でそれを補強することで、脇田兼則のアナグラムを読者が解けるように設計した。
だとすれば、高明の「時は金なり」という言葉はすでに役割を果たしている。それ以上の伏線は込められていないとも考えられます。
とはいえ、「高明は脇田のことを知らないけど、偶然『時は金なり』という言葉を使った」では、さすがにご都合主義な気も。
たとえば、高明はラストシーンで不敵な笑みを浮かべています。
こうした表情は、一般的に「思惑通り」だから出てくるもの。なのに、笑みを浮かべながら使っている「時は金なり」の真の意味は知らない、ではやや間抜け。

名探偵コナン1031話より引用
▲「名探偵コナン」において表情は非常に重要な手がかり。たとえば、1029話でコナンからラムについて質問を受けた安室も、眉毛のわずかな角度によって「困った子だな」のようなニュアンスに描き分けられています。高明の不敵な笑みにも、不敵な笑みを浮かべるだけの理由があるはず。
そう考えると、やはり高明は脇田の名前を教えられていた可能性が高そう。
つまり、おそらく黒田は高明への電話で、
- 降谷零がゼロであり、事件現場にいること
- 捜査対象の名前が「脇田兼則」であること
という2つを教えたことになります。
成り行き上、降谷零について教えるのは仕方ないかもしれません。しかし、公安の機密情報である「脇田兼則」の名前まで教える必要はない。
そこから導き出されるのは、黒田は高明を公安に協力させようとしている、という可能性です。
黒田は高明を「大事」に参加させる
ここで思い出したいのが、黒田のこのセリフ。
黒田「大事の前だ…余計な火は消しておくに越した事はないからな…」
(名探偵コナン1017話より引用)
黒田は現在、何らかの「大事」を起こそうとしています。そして、おそらくその内容は、ラムの身柄を確保すること。
ジェイムズ「その男さえおさえればボスまで辿り着けると踏んで、我々FBIもその仕事の集合場所に先回りし、身を潜めていたんだが…」
(名探偵コナン58巻より引用)
FBIはかつて、ジンを罠にかけて身柄を確保しようとしました。安室はラムの正体を知っているみたいなので、同じように公安がラムを罠にかけようとしている可能性は高い。
黒田はおそらく、高明を「大事」に関わらせようとしているのではないでしょうか。
そう考えると、腑に落ちる点はいくつかあります。
高明は脇田を釣り出す餌?
たとえば、前回のこのシーン。
黒田「諸伏に代わってくれ…聞きたいことがある…」
(名探偵コナン1030話より引用)
黒田は高明への電話を、なぜか大和のスマホにかけていました。
これはおそらく、高明のスマホに通話履歴を残したくなかったから。黒田は高明のスマホが調べられたときに備え、自分との接点を隠そうとしたのではないでしょうか。
つまり、黒田は高明が組織に調査されることを想定している。
そもそも今回の一件、単に高明を口止めするだけなら「現場に行くな」と命じるのが最も安全。脇田に高明の顔を見られずに済みますし、公安の事情を伝える必要もなくなります。
そうしなかったということは、黒田は口止め以外の狙いを持っている。むしろ、意図的に高明と脇田を接触させようとしている可能性があります。
黒田の狙いは、スコッチとよく似た高明の顔を見せることで、脇田を釣り出すことかもしれません。高明は危険な役割を買って出て、弟の意思を受け継ごうとしているとか。
安室が独断で行動している
また、今回のシリーズを通して、安室が独断で行動しているのも気になるところ。
安室はテレビ電話で高明に姿を見せましたが、隠密を重視する公安としてはリスキーな行動です。本来なら苦肉の策であり、黒田との相談も必要なはず。
しかし、安室はこれを独断で遂行しています。
安室「ペアを組みませんか?信用のおける人と、絶えず2人1組で動けるように…」
(名探偵コナン1029話より引用)
▲安室が黒田と連絡を取れたのは、コナンとペアを組んでいた時間だけ。それ以外は、常に脇田の目がある状態でした。
ですが、安室がテレビ電話に映ったのは、それよりも前の出来事。つまり、安室は黒田に相談することなく、高明に姿を見せています。
もしかしたら黒田と安室は、以前から高明を仲間に入れることを計画していたのかもしれません。
だからこそ安室はこの場面、独断で行動できたということ。もちろん、安室はもともと大きな裁量を持っているため断言はできませんが、この可能性はあると思います。
そう考えると、1017話で黒田が「大事の前だ」と発言→次のシリーズで高明に封筒が渡るという流れも、ドンピシャのタイミング。
まだどうなるかはわかりませんが、今後の展開が楽しみですね。
毎回ものすごく楽しみにしています!名推理に感激しながら読んでいます。とてもわかりやすいです。これからもよろしくお願いします!( ´ ▽ ` )
ありがとうございます!!拙い考察ですが、わかりやすさは意識してるので嬉しいです。ぜひまた読みに来てくださいー!
初めまして。遅ばせながら「からくれない」の映画を先日見ました。どうしても何度見ても理解しずらい点があり、ネットでも検索してみたのですが解答になるものも見当たらず、考察として書いていらっしゃるブログでこちらが一番わかりやすく丁寧に思いましたので、図々しくも申し訳ありませんが、教えていただけると幸いです。①冒頭、矢島が「もうついたのか」と、言っているのは、テレビ局へ向かうための迎えが来た、と、思っているということでしょうか?②阿知波は、矢島が自分が犯した罪に気づき、今回のTV収録は罠(?)であると気付いて、TV局爆発を試みた。という点は推測として合っていますか?(⬅️いつ矢島の動きに気づいたのかという部分が省略されていたように思いました)③関根が刀を拭いたのは、犯人が名頃だと思い、庇うつもりで拭いたのでしょうか?だらだらとすみません。もしお手空きであれば、解説いただけるとうれしいです。
お返事遅れておりすみませんー!
から紅の記憶が結構曖昧なので、確認しようしようと思いつつ。。見直し次第解説しますので、気長にお待ちいただけると助かります。。(>人<;)
1031話の感想そして考察、楽しみに待っていた甲斐がありました、とてもおもしろかったです…!
お恥ずかしい話ですが、自分では言葉にできないモヤモヤとしたものをピタリと表現されていて(例えば高明が車から降りてくるシーンは黒田管理官が電話で話した内容を推測する材料になる…など)本当に尊敬します!
本編の再開もたのしみですが、それ以上にここでHiroさんの文章を読むのがたのしみです(*´▽`*)
1031話の感想そして考察、おもしろかったです!
お恥ずかしい話ですが自分では言葉にできないモヤモヤとしたもの(例えば高明が車から降りてくるシーンは黒田管理官が電話で話した内容を推測する材料になる…など)ピタリと筋道をたて表現されていて尊敬します!
本編の再開もたのしみですが、それ以上にここでHiroさんの考察と感想を読めるのをたのしみにしています(*´ω`*)
すみません…コメント重複してしまいましたのでどちらか削除お願いします(>_<)お手数お掛けします
嬉しすぎるお言葉ありがとうございます!!!外すこともままある迷推理ですが、本編のついでにお楽しみいただけたら幸いです。
ちなみに、明日とか明後日くらいにお茶会の考察をアップすると思います(多分……笑)。よかったら見にきてくださいね。
コメント重複は大丈夫です〜笑