名探偵コナンの黒幕「あの方」の正体をネタバレ考察。15の伏線から見える2人の候補者とは?【名探偵コナン考察】




11. 幼児化、不老のことを知っている

あの方はベルモットと20年以上の付き合いがあるため、「年を取らない現象(不老)」のことは知っていると思われます。

また、APTX4869を開発していた宮野エレーナは「薬を完成させるためにはお別れしなければならない」と話していました。エレーナ曰く、APTX4869は「銀の弾丸」。組織の目的に反する薬であることが露見し、これ以上研究するのが難しくなったのかもしれません。でなければ、莫大な資金のある組織を離れるメリットはありませんからね。

ということは、あの方はAPTX4869の効果、つまり「幼児化」という現象も把握していることに。

 

しかし、ここで不可解なのは、ジンらはAPTX4869をただの毒薬だと思い込んでいる点。あの方はジンに情報を共有していないわけです。これが示すのは、あの方はベルモット同様、幼児化をメンバーに知られたくないということ。

一方でジンとウォッカ(黒沢陣、魚塚三郎)は、不老不死で有名な美國島に宮野志保と訪れています。これが研究のヒントを得るため、あるいは服部がいう「日本を動かしていた大物」と接触するためだったとしても、ジンは灰原が「本当に作らされていた薬」の存在は知っていることになります。おそらくはウォッカも。

つまり、あの方がジンに隠したいのは、組織の目的を達成させる「本当の薬」ではなく、APTX4869の真の効果である「幼児化」だけ。普通に考えたらそんなに隠すことでもないので、そこにはあの方にとって知られてはならない秘密があるはず。たとえば、ボス自身が幼児化しているとか。

 

12. 目的は不老不死ではない

青山先生「不老不死は目的じゃないです。確かにそう見えるよね(笑)」

あの方が求めているのは永遠の命ではない。灰原も自らの薬を「夢のような薬ではない」「地球のほとんどの人間にはその価値を見出せない愚かしいもの」と評価しています。

美國島の回では、多くの人が不老不死を求めて島に訪れることが明かされているため、もし薬の目的が不老不死だったなら「ほとんどの人間にとって価値がない」とは言いませんよね。

幼児化の作用をもたらすAPTX4869が「銀の弾丸」になり得るなら、組織の目的は幼児化によって阻止されるもの。寿命を司る「テロメラ」を伸ばすAPTX4869とは反対に、テロメラを縮める=老化させる効果を持つのが本来の薬かもしれません。

組織の目的についてはさまざまな考察ができるため、詳しくは別の機会に。

 

13. 到底信じがたい人物である

灰原「ただでさえ信じがたい人物が浮かび上がってくるかもしれないんだから…」
(名探偵コナン47巻より引用)

どこか含みのある灰原のセリフ。組織の根幹に関わる研究を任されていた灰原は、以前の宮野厚志、宮野エレーナと同程度の立場だったはず。あの方の素性を知っていてもおかしくありません。

一方でラムについては「聞いたことがある」程度だったり、組織内でどこまでの地位を築いていたのか曖昧な部分も。現時点ではどちらともいえないのが正直なところです。

 

しかし、作者がわざわざ灰原にこのセリフを言わせた以上、信じがたい人物であることは確実でしょう。もし「ああ、やっぱりね」というキャラだった場合、このセリフの存在意義がなくなります。

ちなみにここでいう「信じがたい」とは、読者にとってではなくコナンたちにとって。たとえば烏丸蓮耶だった場合、読者からすれば「ああ、やっぱりね」ですが、コナンからすれば「信じがたい人物」。亡くなったことになっていますから。

 

では、「信じがたい」とはどんな意味か。対外的な立場や評価、人物像と乖離するという意味です。逆にいうと、いかにも悪の組織らしいキャラクターは除外されますね。たとえばマフィアの親玉とか、黒田兵衛みたいなコワモテとか。現在の職業などもかりそめの可能性が高く、「登場人物全員が容疑者」くらい先入観を捨てなければなりません。

 

14. プッシュ音は「七つの子」

ボスのメールアドレスのプッシュ音は「七つの子」。日本人であることは先ほども述べた通りですが、ほかにも二つの可能性が読み取れます。

 

一つは、あの方の過去には「子供」というキーワードが絡んでくるということ。ご存知の通り「七つの子」は童謡。「子供」と無縁の人物が「七つの子」を選ぶことはありえないので、あの方のパーソナリティーには「子供」に関わるなにかが秘められているはず。

たとえば、組織の目的は亡くなった娘の復活だとか、自分の子供時代の悲劇から組織を発足したとか、はたまた教育関係者だったとか。電話越しの猫の件も(猫=赤ん坊だった場合)リンクしそうな気がします。

なんとなく子供と無縁そうな常盤栄作とかは、たぶんボスじゃないです(笑)。現実世界と違って「人は見かけで判断できる」のが物語世界のルールなので。キャラの人格と合致しないデザインにはしないと思うんですよね。

 

もう一つは、あの方は残虐非道な極悪人ではないということ。もちろん数々の凶悪犯罪を手引きしているため、肩を持つことはできないのですが、同情に値する動機は用意されているものと思われます。

なぜなら、「七つの子」は情緒的な曲だから。これはあの方の人格に情緒性が含まれている証拠です。早い話が、ジンの着信音が「七つの子」だったら引くじゃないですか。無慈悲な人物だった場合、情緒的な曲は選ばないわけで。

おそらく「七つの子」が舞台装置となって、読者の感動を誘うような展開が待っているのではないでしょうか。

 

15. じつはボスの名前は24巻までに出ている?

佐藤健さんのインタビューでのワンシーン。「ボスを決めたのはいつ頃ですか?」と聞かれ、青山先生は「だいたいこの辺りかな」と一冊のコミックを手に取ります。じつはこれ、大ヒントです。

あの方の名前が初登場したのは24巻。ピスコが「あの方に長年仕えた」と話していることから、この時点であの方の年齢は決まっていたことがわかります。しかし、「あの方の年齢は70〜80歳にしよう」とだけ決める漫画家はいません。年齢を決めていたのなら、当然ながら名前や性別、パーソナリティーに至るまで設定済みと見るべきでしょう。

つまり、24巻の時点で、作者の脳内ではボスは決まっていたわけです。

 

では、青山先生は一体どの巻を手に取ったのか。断言できるのは、「意味のない巻は取らない」ということです。

たとえば、ボスを決めたのは15巻を執筆している時期だったから、なんの伏線も描いていないけど15巻を手に取った。そんなことはあり得ません。手に取ったのは間違いなく、有力な伏線のある巻。生粋のコナンフリークである佐藤健さんが「これは載せちゃダメだ。あの方の正体がバレてしまう」と焦っている点からも、心当たりのある巻だった可能性は高そうです。

 

もう一つ言えるのは、「24巻以降の巻も取らない」ということ。

あくまでも問いは「ボスを決めたのはいつ頃か?」だからです。仮にランディ・ホークがあの方だったとしましょう。正体を決めたのは24巻以前だったけど、登場したのは32巻だからそのコミックを手に取る、なんて行動をするでしょうか。佐藤健さんたちへのサービスでそうした可能性はありますが、言葉のキャッチボールを成り立たせるなら、24巻以前のコミックを取っているはずです。

 

24巻以前に絞ると、ボスへと結びつきそうな伏線は限られています。シンプルにあの方が登場していると考えるのが自然かもしれません。

となると、24巻までに出ているボスの候補者と呼べそうなキャラクターはたった三人。エドワード・クロウ、阿笠定子、「大黒ビル」繋がりの大黒連太郎です。

しかし、この記事の考察に間違いがなければ、あの方は日本人

 

残るのは、阿笠定子と大黒連太郎の二人だけになります。

 

阿笠定子は40年前に親戚の阿笠栗介を亡くし、独身のまま生涯を終えた人物。対する大黒連太郎は、烏丸蓮耶のアナグラムで命名されているキャラクターです(烏→黒 丸→太 連→蓮 郎→耶)。つまり、大黒と烏丸は同一人物、または深い関連のある人物。

そして、どちらの候補者も、時系列的には「組織が半世紀前からはじめたプロジェクト」という灰原のセリフと合致します。

 

もちろん、これはまだまだ確証のない話。24巻以前に伏線がなかったため、やむなく32巻を手に取った、みたいなケースも考えられます。

しかし、阿笠定子または大黒連太郎(烏丸蓮耶)があの方である可能性は非常に高まったと言えるのではないでしょうか。

 

より可能性の高い候補者はどっち?

なお、あの方疑惑がより濃厚な候補者は、月並みですが大黒連太郎(烏丸蓮耶)のほう。

なぜなら、阿笠定子は阿笠博士に気味の悪い手紙が送られてくることを相談しているから。

阿笠「差し出し人の住所も名前もない手紙が、10年前から毎年送られてきて気味が悪いと叔母から相談されて、その手紙をワシの所に送ってもらったんじゃ!」
(名探偵コナン12巻より引用)

もし定子があの方だったなら、博士にわざわざ相談はしない。組織のメンバーを使い、手紙の送り主を突き止めるでしょう。

また、あの方の住居は鳥取県の倉吉市。作者の故郷への想い(青山先生の故郷は鳥取県)を踏まえても、そこはあの方の仮住まいではなく本拠地のはず。ということは、鳥取県在住ではなく、思い出やルーツも鳥取県外にある定子は、あの方である可能性は低いです。

となると、残るは大黒連太郎(烏丸蓮耶)のみ。定子説が完全に否定されたわけではありませんが、より現実味があるのは大黒・烏丸説になるのかなと思いますね。

 

あの方のプロファイリング

ということで、今回のあの方考察はここまで。話し足りないこともたくさんありますが、長々とありがとうございました!

最後にあの方のプロファイリングを置いておきます。推理ミスもあるかもしれませんが、推理の参考にご活用くださいね。

10 Lines Summary

  1. 53巻FILE.8までにフルネームで登場している
  2. レギュラーキャラではない
  3. あの方はシャロン以上の高齢
  4. 慎重居士。過去に石橋を叩きすぎて壊してしまったかもしれない人物
  5. いかにもあの方らしい人物像ではなく、むしろイメージとは乖離している
  6. あの方とベルモットは血縁関係、夫婦、恋人関係ではない
  7. 日本人、もしくは日本にルーツを持っている
  8. 幼児化、不老という現象の存在を知っている
  9. 情緒的な一面も持つ性格
  10. 24巻までに登場している可能性が高い
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8 件のコメント

  • おもしろくてわかりやすくて、夢中で読みふけっちゃいました。

    あの方が光彦になりすましている説の考察もあれば読みたいです。蛍を探しに行くストーリー以降が怪しいように感じています。

    組織の目的、組織メンバーの能力に関する考察なども読みたいです!
    私ではこんなに具体的で多方面から読み解いた考察はできないので…笑。

    これからも楽しみに読ませていただきます。

    • コメントありがとうございますー!お楽しみいただけて嬉しいです。

      光彦説については、可能性は限りなくゼロに近いと思ってます。根拠は色々ありますが、作者にも否定されてますし、何より名探偵コナンという作品におけるタブーかなと。

      探偵団の活躍によって解決した事件は、原作・アニオリ・映画ともに数え切れないほどあり、彼らの行動原理は純粋な子供の正義感として描かれてきました。それを全てなかったことにする(少なくとも歪めてしまう)展開は、「コナン」という国民的コンテンツでは困難ではないでしょうか。良くも悪くも「コナン」はもう作者だけのものではないんですよね。

      あの方の幼児化という意味だと、あり得るとしたら高飛車な女の電話越しに聞こえた猫の声=あの方というパターン。つまり赤ちゃんまで若返ってる展開ですね。歳をとらなくなってしまったあの方のために組織は老化薬を作っている、みたいな。これも色々と矛盾する展開ではあるんですが、どちらかというと光彦説よりは可能性があると思います。

      組織の目的については、エレーナも出てきたことですし、今後さらに考察していきたいと思ってます!楽しみにお待ちいただけたら幸いですー!

  • はじめまして。
    今頃ではありますが、こちらのサイトを知り、感嘆しながら拝読しております。
    まだすべて読めてませんが、説得力があり論理的な思考が素晴らしいと思います!

    今さら過去記事にコメントするのも気が引けたのですが、どうしてもHiro様のご意見を伺いたくて勇気を出してコメントします。

    私も大黒があの方だと思っているのですが、烏丸と大黒には数字の暗号が含まれてはいないでしょうか?

    まず、前提として大黒は(漫画世界では珍しく)読み方が分かりません。ルビが振られていないので。
    名簿の前後の名前を考えると「だいこく」でしょうが、一般社会では「おおぐろ」と読むことも可能です。

    もし「おおぐろ」と読むなら4869のように次のように数字変換できます。
    【0096】
    この数字をアナグラム…というか、スマホを逆さまにしてみるとこうなります。
    【9600】
    この数字を解読します。まず最初の3つ。
    960→く、ろ、お→クロウ→烏
    最後の0は丸に見立てれば
    9600→烏+丸→烏丸

    以上よりこの2人はつながるのではないかな、と思うのです。

    私の周囲にはコナンを語り合える友人がいなくて、上の考えを思いついたものの意見も聞けず、一度ネットに吐き出したこともあるのですが、とんでも考察も添えてたため笑、数字暗号についてはほぼ反応がなく…。
    でもどなたかのご意見が聞きたくて、図々しくもコメントしてしまいました。申し訳ありません。
    あと、もうすでに考え出されているアィディアであるなら、ドヤ顔で語ってしまい、本当に申し訳ないです…。

    なんだかお返事を催促するようなことを書いて申し訳ないですが、無理強いする気は毛頭ありませんので!
    お目通し下さればそれで十分幸せです。

    長々と失礼致しました。

    • こんなに古い記事をご覧いただいてありがとうございます…!この記事の1〜2週間後くらいにあの方の正体が発覚し、記事の寿命が短すぎて複雑な気持ちだった記憶があるので、嬉しいです。笑

      大黒の読み方は、12巻で「大黒(だいこく)ビル」が出てきたので「だいこく」かと思ってました。ですが、その数字に変換する説は面白いですね!

      そもそも烏丸の名前がカラスから来てますし、これなら「烏丸にも大黒にもカラスが入ってる」という状態にできます。むしろそれが「烏丸=大黒」を推理するヒントとも考えられますし、この説が正解の可能性は十分あると思います。

      私はこういう発想力を要求される考察は苦手なので、助かります!!全然図々しくないので、またコメントしてください〜。笑

        • 面白い考察だったので、このタイミングで広めたいな〜と思いまして。ご覧いただけてよかったです!

      • 返信ありがとうございました!
        過去記事にコメントするのは管理者様には負担になるかと送った後で申し訳なく思ったのですが、こうして返信頂けて、本当に嬉しかったです。

        私の考察とも呼べない思いつきに感想頂き、とても感激しました!
        思いついたものの誰とも語り合えず悶々としていたので笑、興味を持って頂けてすごく嬉しかったです!
        正解かは分かりませんが…でも大黒=烏丸なら嬉しいなあ…。

        こちらの考察記事、とても面白いです!
        最初から読み返してふむふむとうなずいております。
        今後も楽しみに待っています^_^

        返信は不要です。お礼を述べたかっただけなので。
        この度はありがとうございました!

  • 僕は違う説を立てております。

    今まで、余り公表してきませんでしたが…あの方のコードネームから、「蘭」と予想しています。

    なぜ、蘭かといううと、orchidの「オーキッド」と言うカクテルが存在します。

    orchidは同じスペルで英語の単語訳すると、ラン科の植物になります。

    ちなみに、このorchidは、ジンベースです。

    あの方のコードネームがジンベースと噂される中、ジンベースなのは有力な情報です。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    子供の頃にベルモットの変装トリックに騙されて以来、生粋のコナンファン。考察は「DEATH NOTE」などにも似た頭脳エンタメだと思います。読み物として面白くなるように「わかりやすさ」と「サプライズ」を大切にしています。本業も物書き。