安室「あ、あなたは!?」
優作「この家の家主の工藤優作です…今日は以前と違って…お連れの方達はいらっしゃらないようなので…ゆっくりと妻の淹れた紅茶でも…味わっていってくださいね…」
有希子「レモンとミルク…どちらにします?」
(名探偵コナン95巻より引用)
名探偵コナン1012話で行われた、工藤夫妻と赤井秀一、安室透の話し合い。通称“お茶会”と呼ばれる一件ですが、そこで話し合われた内容はまだ判明していません。
ということで今回は、お茶会の内容を徹底考察。
- お茶会で確実に話し合われた内容
- 黒田の「例の件」と安室の「まだ何も…」の意味
- 赤井と安室は和解した?
- 優作と赤井の立てた作戦
など、謎に包まれた全貌に迫ります。
1. 高確率で行われた「工藤新一の情報の口止め」
さて、まずはお茶会が行われた際の状況をおさらいしましょう。
きっかけは、修学旅行編で「工藤新一が生きている」という噂がネットに流れたこと。噂の火消しには成功したコナンたちですが、組織の目を欺くには不十分。ラムから新一の調査を命じられた安室が、工藤邸へと侵入します。
これは、コナンたちにとっては非常に旗色の悪い展開。
このままだと新一の生存はもちろんのこと、最悪の場合は「コナン=新一」という事実さえも組織にバレる恐れがあります。
赤井「お前が今日ここへ侵入する事を…全て読んでいたとしたらどうだ? 合鍵を作る事も…工藤新一を探れという命を受ける事も…」
(名探偵コナン95巻より引用)
▲ましてや、コナンたちは安室に命令が下ることを予想していました。コナンたちは安室の実力を知っているので、敵に回すことの危険性はよく理解しているはず。事実、赤井も安室を「敵に回したくない男の一人」と評しています。
組織に新一の情報を知られたら当然、新一と親密な蘭や阿笠博士も危険に晒されます。となると、コナンたちとしては安室に新一の情報を漏らさないよう根回ししないといけません。
そのため、お茶会で工藤夫妻が「新一の生存」を安室に伝え、それを口止めした可能性は高いです。
2. 「沖矢昴」についても話し合われた
また、お茶会で話し合われた内容はそれだけではありません。もう一つ、確実に話し合われた内容が存在します。
それは「沖矢昴」について。順を追って説明しますね。
口止めとセットになっている「報告内容の話し合い」
大前提として、単に新一の生存を口止めするだけでは、この状況はくぐり抜けられません。
なぜなら、安室は新一の調査結果をラムに報告しないといけないから。ラム相手に「やはり新一は死んでいました」では済まないはず。仮にそう伝えるとしても、相応の証拠をでっち上げないといけません。
つまり、安室に口止めをする時点で、報告内容の話し合いもセットでついてくるということ。ラム編はこの報告内容によって、ストーリーが大きく変わる設計になっています。
そして、安室がラムに報告しなければならないのは、実は新一の調査結果だけではありません。沖矢昴についても調査し、報告する必要があります。
新一の調査は「沖矢昴の調査」も兼ねている
なぜなら、沖矢昴という謎の人物が工藤邸に住んでいることは、ラムでも簡単に調べられるから。
つまり、沖矢に関する報告をしなければ、安室はラムに不審がられてしまいます。新一の調査はいわば、沖矢の調査も兼ねているということ。だからこそ安室は工藤邸に侵入し、沖矢の正体を暴こうとしているわけですね。
となると、お茶会で話し合わなければならないのは、新一以上に沖矢の扱い。
もし安室が「沖矢=赤井」だと報告してしまったら、これは大問題です。
組織に赤井の生存がバレるのはもちろんのこと、その赤井を匿っていた工藤家や、赤井を殺したフリをしていた水無怜奈もただでは済みません。さらには、沖矢昴と親しくしていた灰原も目をつけられ、最悪の場合は「灰原=宮野志保」ということまで突き止められてしまいます。
そして、安室はかつて組織に赤井を売り渡そうとした人物。赤井からすれば、安室に「沖矢=赤井」だと明かされるリスクは高い。
そう考えると、お茶会では確実に「沖矢昴についてどう報告するか」も話し合われたはず。赤井がお茶会に参加したのは、それが大きな理由でしょう。
3. 黒田の「例の件」と安室の「まだ何も…」の意味
さて、ここまでの考察をまとめると、お茶会の議題は「新一と沖矢の調査結果をどう報告するか」。これについて話し合わなければ、コナンも赤井も一巻の終わりです。
言い換えると、安室はラムに嘘の報告をするということ。とてもリスキーな行動のため、安室側にもメリットのある報告になると予想されます。
では、その内容はどんなものだったのでしょうか。ヒントになるのが、1017話での黒田と安室のやり取りです。
黒田「それより例の件は…どうなってる?」
安室「まだ何も…」
黒田「報告を怠るなよ…バーボン…」
(名探偵コナン1017話より引用)
安室は黒田から「例の件はどうなってる?」と聞かれ、汗を流しながら険しい表情で「まだ何も…」と答えています。この際、安室は工藤夫妻の姿を思い浮かべており、お茶会と「例の件」には関連性があることが伺えます。
安室は黒田にお茶会のことを隠している?
一見するとこのシーン、「安室が黒田にお茶会のことを隠している」ように見えますね。
安室は公安の任務でしか動かないように設定されています。たとえば、裏切りシリーズで「沖矢=赤井」を疑ってもそれを暴こうとしなかったのは、緋色編で赤井の調査は一段落ついているから。
言い換えると、安室の行動はいずれも黒田の許可を得たもの。黒田の「例の件」というセリフも「新一の調査」を指していると考えられます。
……というのが、王道の解釈。しかし、このシーンで可能な解釈はそれだけではありません。
お茶会のことを報告している可能性もある
このシーンの解釈は2通りあります。
- 黒田はお茶会を知らない。例の件=新一の調査
- 黒田はお茶会を知っている。例の件=お茶会で話し合われた作戦
上記で説明したのは①の解釈。一方の②は、安室が黒田に隠し事をしていないパターンです。
一連のシーンは、②の解釈でも説明がつきます。この場合、
- 優作と赤井は何らかの作戦を安室に提案
- 安室はそれを黒田に報告
- 「例の件はどうなっている?」というセリフは「お茶会で立てられた作戦の進捗はどうなっている?」という意味
- 安室の険しい表情は、作戦の内容が緊張を伴うものだから
- 黒田が「報告を怠るなよ」と釘を刺したのは、公安の計画している「大事」の邪魔にならないようにタイミングを見計らっているため
こう考えると、安室が黒田に隠し事をしていなくても一連のシーンは成立します。
そもそもこのシーンは、安室が黒田に隠し事をしている=黒田がラムと思わせるのが狙いです。つまり、安室が黒田に隠し事をしている描写自体がミスリードの可能性は十分にある。
実際、①なら黒田の「例の件はどうなってる?」というセリフは「工藤新一の調査はどうなってる?」にした方がラムっぽい。それをあえて「例の件」という言い方にしたのは、新一の調査とは別件だからとも考えられます。
つまり、安室はお茶会で話し合われた内容を、黒田に隠しているとは限らない。そして、もし隠していなかったとしたら、それは安室を緊張させるほどの“危険な作戦”だったということです。
優作と赤井は「緋色編の真相」を安室に明かしている
話し合いの内容を考える上で、もう一つヒントになるのが1012話の沖矢の服装。

名探偵コナン95巻より引用
窓際に立った沖矢の服装と、

名探偵コナン95巻より引用
最後に出てくる優作の服装が一致しています。
つまり、優作はあえて沖矢に変装し、窓際に立った。その上で変装を解き、安室をお茶会に誘ったということ。
優作はなぜ、沖矢の変装をしたのでしょうか。
ストレートに考えると、安室に「沖矢=優作」だと思い込ませるため。そうすれば、組織に「沖矢=赤井」だと報告されずに済みますからね。変装して生活している理由は「編集者から逃げるため」など、いくらでも言い訳は立ちそう。
ですが、それなら赤井はお茶会に参加しないはず。
この場に赤井がいるということは、優作と赤井は明らかに協力関係。その上で安室に「沖矢=優作」と言い張るのは、さすがに無理があります。
となると、優作と赤井の狙いは「沖矢=優作」と思わせることではない。
それ以外に考えられる狙いは、緋色編の真相を話すこと。おそらく優作と赤井は、有希子も含めて3人で実行した入れ替わりのトリックを、安室に説明したのではないでしょうか。
優作「今日は以前と違って…お連れの方達はいらっしゃらないようなので…」
(名探偵コナン95巻より引用)
▲事実、優作は緋色編での変装を隠そうとしていません。また、このセリフは「お連れの方=公安」だと知っているからこそ出てくるものなので、やはり優作と赤井は協力関係を明かすはず。
また、これは言い換えると、変装術の存在を安室に教えることでもあります。安室がベルモットの手を借りなくても変装できるようになったことは頭に入れておきたいですね。
優作と赤井が安室に提案した作戦
ここまでの考察を整理すると、
- 工藤夫妻は「新一の生存」を口止めしないといけない
- 赤井は「沖矢=赤井」を口止めしないといけない
- 安室はラムに「新一と沖矢の調査結果」を報告しないといけない
- つまり、お茶会の議題は「新一と沖矢の調査結果をどう報告するか」
というのが今回の状況。
それに対し、お茶会で確実に共有された情報は、
- 新一が生きていること
- 沖矢=赤井であること
- 緋色編の真相
- 有希子が変装術を使えること
の4つ。
ここからはあくまでも予想ですが、安室はラムに「沖矢=新一」と報告するのではないでしょうか。
優作と赤井はこれにより組織をおびき出し、FBIと連携してメンバーを捕える狙いとか。いまの状況は組織を釣り出すのに格好の材料が揃っているため、ピンチと同時にまたとないチャンスでもあります。
そもそも沖矢が工藤邸に居候しているという事実は、あまりにも不審すぎる。報告するにあたって「ただの大学院生でした」で通用するとは思えません。それならいっそのこと、沖矢の調査結果に罠を仕掛ける可能性は高そう。
この場合、黒田の「例の件」というセリフは、優作と赤井の立てた作戦のことを指している。そして、安室の「まだ何も…」というセリフは、その準備が整っていないという意味で解釈できます。これはかなりのリスクを負ったクレイジーな作戦なので、安室が焦った表情をするのも頷ける。
今後ありそうな演出としては、安室がラムに「新一を見つけました」と報告。コナンが絶体絶命になったように見せかけて、実は安室とグルでしたというパターン。
とはいえ、この作戦では破綻する点も多いです。
第一に、いくら「沖矢=新一」と伝えるとしても、新一の生存を組織に教えるのは危険すぎる。沖矢より先に蘭や阿笠、服部へと矛先が向くかもしれません。そして、そんなデマを流した安室もまた、組織で裏切り者の疑いがかかります。
組織に赤井が生きているのがバレるのもまずい。水無玲奈はスパイとして裁かれ、工藤家も赤井を匿っていたことになってしまいます。
何より優作と赤井は、安室に指示を出しているのがラムであることを知りません。
コナン「RUMって知ってるよね?」
安室「一体君は…どこからそんな情報を…」
(名探偵コナン1029話より引用)
安室はコナンにラムのことを聞かれ、「どこでそれを」と答えています。もし優作と赤井にラムのことを話していたなら、コナンの情報源は2人だとわかるので、この反応にはならない。
つまり、赤井たちが組織をおびき出そうとしていた場合、それは「誰になるかはわからないけれど、組織のメンバーを罠にかける作戦」ということに。これではリスクに見合わない気もします。
このように、「沖矢=新一」と報告するのはハイリスクローリターン。それをクリアできれば、いかにもありそうな展開なのですが。
スコッチの死の真相も共有された可能性が高い
また、これも断言はできませんが、お茶会ではスコッチの死の真相が共有された可能性も高いです。
なぜならこのお茶会は、シンプルに言うと「安室が赤井を助けるための作戦会議」だから。
現在の状況において、新一と赤井は一蓮托生。安室が新一を助けるためには、必然的に赤井も助けないといけません。
民間人を守る立場の安室にとって、新一を助けるのは当然のこと。その結果、赤井を助けることになったとしても、割り切って受け入れる可能性はあります。とはいえ、安室を確実に味方につけたいなら、赤井はスコッチの死の真相を共有しておくべき。
となると、赤井は安室との確執を解くために、スコッチの件について話したと考えるのが自然。断言できるほどの材料はないですが、ごくシンプルに考えるとこうなるかと思います。
いずれにせよラム編は、安室&黒田、赤井&メアリー&若狭という2大勢力が共闘することで、話が収束に向かっていくと予想されます。お茶会はその第一歩だったのかもしれません。
景光(スコッチ)が命をかけて守った仲間と家族のデータ…。
よく考えると潜入中の公安捜査官のスマホに仲間と家族のデータが一緒に入ってるわけないんだよね。
ただ家族に公安捜査官がいる場合は電話帳に登録してる場合がある。
景光を引き取ったという「東京の親戚」も公安警察の可能性あり。
ただ安室と赤井の和解をその人物が許すとは思えないんだよな…。
諸伏家に対する裏切り行為だから…。