Q88. スコッチが生きている可能性はありますか?
ありません。
(名探偵コナン SDB BLACKPLUSより引用)
昨年12月に発売された「名探偵コナン SDB BLACK PLUS」で、スコッチの死亡が確定。
生存を信じていた人にとっては、辛いニュースだったのではないでしょうか。
ですが、スコッチの自決は、彼の優秀さがギュッと詰まった名シーン。今回は、決して悲しいだけじゃないスコッチの最期について考察したいと思います。
卓越した一瞬の判断力
さて、スコッチの自決がなぜ名シーンなのか。理由のひとつは、一瞬でとても優れた判断をしているから。
一連のシーンでスコッチは、常に最適解を選び続けています。スコッチの直面した状況を振り返りながら、その非凡な判断力を検証していきましょう。

名探偵コナン90巻より引用
まず、安室が階段を上ってくるこのシーン。
この段階で、スコッチの立場から想定できるパターンは2つです。
- 階段を上ってきているのは組織の刺客
- 階段を上ってきているのは助けにきた安室
②なら問題は何もありません。FBIなのを明かした赤井にも協力を仰ぎ、3人でスコッチを組織から逃れさせる算段を立てるだけ。
普通の人間なら、希望的観測で②に期待し、階段を上ってきた相手を見るまで判断を待つでしょう。
ですが、勇敢なスコッチはそんな希望には縋りませんでした。なぜなら、①だった場合のリスクが大きすぎるから。
もし①だった場合、そこから予想される未来は殺し合いしかありません。組織は公安の情報を探るため、スコッチを殺してスマホのデータを抜き取るか、拷問にかけて情報を吐かせるのは確実ですからね。
殺し合いの先に待ち受けているのは、以下のどちらかの結果です。
- 刺客を殺す(無力化する)
- 刺客に殺される(無力化される)
そして、ここがポイントなのですが、おそらくスコッチはどちらの結果も「大きなリスク」だと判断した。
刺客に殺されるのはもちろんのこと、刺客を無力化することさえも良しとしなかったのだと思います。どういうことか説明しますね。
スコッチの思考
まず、刺客に殺されるのはスコッチにとって絶対に避けたいこと。親友の安室や公安の仲間、もしかしたら連絡先に入っているかもしれない高明の情報が、組織にわたってしまいます。
そのため、スコッチはこの状況を「絶対に殺されてはならない場面」と認識していたはず。
一方でスコッチはおそらく、刺客を無力化するのも避けたいと考えていたと思います。
なぜなら刺客を無力化するには、赤井の協力が必要だから。いくらスコッチといえども、刺客と同時に赤井まで相手取ることは不可能です。
そして、赤井を味方にするということは、赤井も組織の裏切り者になるということ。つまりFBIの潜入捜査も打ち切りになってしまい、「組織の壊滅」という大きな目的から遠ざかってしまいます。
そもそもこの場面、刺客に殺される可能性は高くありません。逆に、自らFBIだと名乗った赤井の力を借りられる可能性は高い。
赤井の実力はスコッチも知っていたはずで、その赤井から拳銃を抜き取るスコッチ自身も相当の実力者。対する刺客は足音からして単独なので、赤井と2人掛かりで負けることは考えられません。
それでも赤井を頼らない理由があるとすれば、それはFBIの潜入捜査を優先したから。
もちろん、赤井の協力を確信できなかったのも理由かもしれませんが、スコッチは絶体絶命の危機にあっても「組織の壊滅」を優先させたのだと思います。
スコッチが行った「赤井のアシスト」
刺客を殺すのも、殺されるのも避けたいという、まさに八方塞がりのシチュエーション。
どちらも回避するためにはどうしたらいいのか。そこでたどり着いたのが、自らの命を犠牲にする選択肢だったのではないでしょうか。
スコッチにとって、ここで自分の命を捨てるのは悲しいほどに合理的です。
確実にスマホを破壊できる
第一に、確実にスマホを破壊できます。
このまま刺客と対面すれば、その先の状況は不確定要素しかありません。すぐに戦闘へと発展するかもしれず、それでは思うようにスマホを破壊できなくなります。
特に、万一にも赤井と敵対した場合、自決する隙すら与えられずに殺される危険性も。それは最悪のパターンです。
つまり、確実にスマホを破壊できるのは、赤井が気をそらし、刺客がその場に現れるまでの一瞬だけ。
そして、スマホはすでに心臓の一直線上にある。それを壊すには、自らの命を差し出すしかありません。
「赤井の手柄」にもなる
さらに言えば、赤井の拳銃で自決することは「赤井の手柄」にもなります。
組織の壊滅を目指すなら、赤井をアシストするのはベストな選択。「裏切り者のスコッチを仕留めたのはライ」に見える状況を作れたら、赤井はさらに組織の中枢へと近づけます。
イーサン本堂「いいかよく聞け、筋書きはこうだ!! 不審な行動をしていた俺に目をつけたお前が後をつけ、追い詰めたが、逆に捕まり尋問を受けた!」
(名探偵コナン58巻より引用)
▲イーサン本堂は、自らの命と引き換えに水無玲奈へと手柄を与え、組織でのし上がるきっかけを作りました。スコッチもイーサンと同様、自分の死をチャンスに変えている。
つまりスコッチは、
- スマホを確実に破壊して仲間を守る
- 赤井をアシストして「組織の壊滅」の糧になる
という2つの意図を持って、自らの命を犠牲にしたということ。
しかも恐るべきことに、わずかな時間でそれを思考し、最適解を導き出していた。
もちろん、ここまで書いたことがどの程度スコッチの計算だったかはわかりません。
それでも彼の出した結論は、極めてロジカルな判断だったことは確かです。自らの命を度外視した上で、なら。
スコッチの持つ「2つの信念」
また、スコッチの一連の行動からは、その裏にある2つの信念も伝わってきます。
大切な人を守る信念
1つは言うまでもないですが、大切な人を守る信念。
公安の仲間はもちろんのこと、無二の親友である安室、さらには連絡先に登録されていたかもしれない兄・高明のことを守るために、スコッチは自らの命を犠牲にしています。
もしかしたら、これは警察学校組に共通する信念かもしれません。警察学校組の5人は、いずれも「誰かを守ろうとする姿」を描かれています。
- 萩原:死に際に仲間へと「逃げろ!」と言い残す
- 松田:大衆を守るために犠牲になることを決意
- 伊達:高木に命の張りどころを説く
- 景光:仲間を守るために自決
- 降谷:危険を顧みずに景光のもとへと走る
ツイッターにも書きましたが、奇跡みたいにまっすぐな5人が、奇跡みたいに集まっていたんですね。
警察官としての信念
そしてもう1つは、警察官として悪を討つ信念。
FBIの潜入捜査を守ったり、赤井の手柄をアシストしたりと、スコッチの行動は一貫して「組織の壊滅」を優先しています。
赤井「狩るべき相手を見誤らないで頂きたい…君は敵に回したくない男の一人なんでね…」
(名探偵コナン85巻より引用)
▲皮肉にもスコッチは、狩るべき相手を誰よりも理解している。組織さえ壊滅できるなら、それが公安ではなくFBIの手でも構わないと思っている。
景光「今日からオレも警察官だ!」
(名探偵コナン1021話より引用)
▲いわばスコッチは、この駆け出し時代の無垢な正義感を、最後の瞬間まで貫いたということ。
優秀すぎたことと、優しすぎたこと。そのどちらかでも欠けていたら、スコッチはおそらく死ななかったと思います。
スコッチの自決は、彼の人格も能力も凝縮されたシーン。悲しい出来事ではありますが、正真正銘の名シーンだったとも言えるのではないでしょうか。
もしかしたら「悔いのない最期」だったかも?
また、これは希望的観測ですが、スコッチの死は本人にとって「悔いのない最期」だったかもしれません。
そのヒントは、兄・高明との関係にあります。
まず、おそらくスコッチは、兄に対して尊敬の念を抱いていたと思います。
スコッチは警察官になった際、高明に手紙を書いています。また、高明も弟の殉職を知った際、温かな笑みを浮かべながら思いを馳せていました。つまり、兄弟の関係はとても良好。
そして、スコッチはそんな仲良しの兄を追うように、警察官の道を選びました。そこには少なからず、高明への憧れの気持ちがあったのだと思います。
ポイントは、高明のどんなところに憧れていたか。
スコッチの「今日からオレも警察官だ!」という言葉からは、警察官であることの誇りを感じられます。高明の突出した能力だけでなく、警察官としての信念や正義感にも憧れていた可能性は高い。
だとすれば、スコッチと高明の信念は、限りなくリンクしていたはず。スコッチが「悔いのない最期」を迎えたかどうかは、同じ信念を持つ高明の反応を見ることで推測できます。
そして、高明はスコッチの死を知った際、どこか満足げな笑みを浮かべています。
高明はスマホの状態から、スコッチが公安に配属されて殉職したことを理解しました。つまり、これは「警察官としての使命を全うしたこと」への微笑み。
もしかしたら高明なら、弾痕の入射角(戦闘で撃たれたにしては直線的すぎる)から「スコッチは自らスマホを撃ち抜き、公安の仲間を守った」ということまで読み取っているかもしれません。
さらに言えば、スコッチは組織に公安だとバレた際、安室に別れの言葉を伝えています。つまり、自決は不運なイレギュラーではなく、しっかりと覚悟した上での決断。
きっとスコッチは、自らの犠牲に希望や誇りを抱き、最期の瞬間を迎えたのではないでしょうか。
しみじみと思いを馳せている時間はありませんでしたが、あらかじめ自らの犠牲のなかに希望を確信していた。だからこそ瞬時にすべてを判断し、実行できたのだと思います。
松田「悪いな萩原…」
(名探偵コナン35巻より引用)
そう、かつての警察学校での同期と同じように。
まとめ
ということで、いかがだったでしょうか。
これまで「生存説VS死亡説」で議論を交わされてきたスコッチですが、かねてより彼の最期には彼の良さが詰まっていると思っていて。「生きているか生きていないか」以外の評価軸を作りたかったため、記事にしてみました。
少し強引な部分もありますが、こんな解釈もできるかも、ということを伝えられたら幸いです。
幼少期からの友人である安室と景光が共に公安に配属されて共に黒の組織に潜入…。
余計な感情が入ったりして判断を誤る可能性があるから近親者や友人同士が一緒に潜入するのは普通はあり得ないとか。
もしかしたら安室と景光は幼少期に誰かから愛国心を教育されてる可能性があるな。
無礼を承知の上で、この質問をさせて頂きたいと思います。
ヒロさんは、バーボンが間に合ったら事態は好転したと思いますか?
バーボンの足音を刺客と勘違いして自害をしたのであれば、逆に言えば足音をたてなければ、助かったということです。
私も今まではそう思っていました。
ただ腑に落ちない点もただあり、今年に入って先生の話そうdayのレポやサンデーを読んでいるうちに、足音がバーボンだと知っていて、スコッチは自害したのではないかと思うようになりました。
「悪い降谷」で始まるメッセージの媒体は分かりませんが、死後に送られるように設定されない限り、降谷さんが駆けつけようとするのは必須です。(幼馴染を助けに行かないコナン側の人間はいません)
ライがスコッチにFBIと名乗れたのは、スコッチが公安だと確定していたから、ではバーボンにも同じように名乗れたのでしょうか?
バーボンから名乗ることはないと思います。入庁2〜3年目の降谷さんが、公安(裏理事官)の許可なく、身分を明かすことはできないでしょう。
スコッチもバーボンが公安だとライに言うことはできなかったと思います。幼馴染としても、公安としても(降谷さんの階級は不明ですが、立場は降谷さんの方が上だと推測されます)言えなかったと思います。
ライからバーボンを守るために、自分のスマホを撃ち抜いて亡くなったのではないかと考察するようになりました。
悲しいですが、私も景光は最善の行動をとったのだと思います。
長文失礼致しました。
お返事めちゃくちゃ遅くなってごめんなさい!
なるほど…スコッチとしてはライもバーボンも素性を明かせず、衝突してしまうことが目に見えてる。だからバーボンだけは犠牲にならないように行動した、という解釈ですね。確かに論理的には整合性が取れて、一理ある説だと思います!
個人的な考えにはなりますが、あの場で3人が生きたまま合流すれば、事態は好転したと思います。ライバボが鉢合わせた瞬間に戦闘を開始し、決着も瞬時につくなら別ですが、多分そうはならないのでスコッチの制止が間に合うかなと。制止の方法も簡単で、ライバボのどちらかに「味方だ」と伝えるだけですから。
とはいえそれは結果論であって、スコッチが最悪の事態を避けることだけを最優先してたなら、ライvsバーボンの戦闘にならないように行動したと考えることはできそうですね。ただ、スコッチがあの状況で足音=バーボンだと断定できる材料はないので(推測は可能ですが)、あくまでも最悪のパターンの1つとして想定してたくらいが現実的かなと思います。
ラム編の考察の最中に、ご回答頂きましてありがとうございます。
殴り合いの戦いであれば、ヒロさんのおっしゃる通り好転する可能性はあると思います。
最悪の事態を想定したのは、そこに【拳銃】があるからなのです。
「聞いていなかったのか?そいつは日本の公安の犬だぞ」とのくだりから、ライはバーボンが来たのは組織の命令だと、あの時点では他に考えようがないはずです。そして50%でも組織の人間である可能性があれば、そちらを選ぶと思います。ライがスコッチから拳銃を奪い返し、バーボンに発砲する危険性は高かったと思います。
元々この考察は、標的に気づかれるほどの足音をたてる程度の組織の人間なら、返り討ちにできたのでは?という疑問から始まったことでした。
黒の組織の基本的なイメージは、キール編での赤井さんのセリフ「影のように忍び寄り、霧のように消え去る」です。組織の刺客が、標的に気づかれるほどの足音をたてて駆け上がるイメージがないんです。駆け上がる必要性も感じられませんし、むしろ、気配もせずに現れるイメージです。(特にジンとかウォッカ)
階段を駆け上がっている時点で、言い方は悪いのですが手柄欲しさの下っ端か、助けにいったバーボンに絞られます。
ちなみに下っ端だったら、ライが瞬殺しても何の問題もないです。逆に瞬殺しないと危険だと思います。
厚かましさを承知の上で、またお聞きしたいことがあります。
赤井さんは降谷さんの名前をどうやって知ったのでしょうか?
日本警察からではないと思うのです。警察のデータベースは基本的に外部アクセスが不可。また、階級ごとに閲覧が制限され、誰が何を調べたか特定できる仕組みになっています。
ゼロは警備警察の心臓部。所属する捜査官は人事データベースからは抹消されているはずです。さらに、降谷さんがゼロと呼ばれていたのは、警察学校まで。
それで、赤井さんと降谷さんの間には、ゼロと呼ばれていたことを知る共通の人間がいたのではないかと思っていたのですが…。空振り三振中です。
ヒロさんにお伺いしたいのは
①赤井さんと降谷さんには個人的な繋がりがある。例えば、降谷さんの出自、特に外国籍の親と繋がりがある。
②M16と公安は対組織で連携が取れていて、M16経由で知った。
キール編でジョディさんが赤井さんにはFBIにはない伝手があると言っていました。それで苗字と所属だけで、イーサン本堂に容易に辿りついたと。
もし②であるならば、対外諜報機関同士は、組織包囲網ができつつあることになります。そうすると、対外諜報機関ではないとはいえ、FBIは微妙な立場になってしまいますが。
③その他
上記が思い浮かんだ考察なのですが、どう思われますか?正直、行き詰まっていまして、お手すきの時に忌憚のないご意見を頂けると嬉しいです。お忙しいところ、申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
「諸伏」の由来は「諸刃の剣」を意味してると思われます。
コナン側にとっても組織側にとってもラム編の切り札(ジョーカー)は「諸伏家」だと思う。
彼が命を捨ててまで守った義父と兄…。
きっとこの2人がコナン側の切り札ですよ!
赤井と安室が和解して公安とFBIが合同捜査をするための…。
無関係の記事に下記のコメントを書いてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
重ねてお詫び申し上げます。
FBI連続殺人事件及び警察学校編を読んだ上で改めて思ったことです。
何故スコッチの公安だとバレてしまったかの経緯を重視するのかというと、組織内でのスコッチの事件の扱いが軽いように感じるからです。
スコッチの存在は、日本警察の中で組織の存在を把握している者がいる証でもあると思うのです。本来なら、組織の傾向として、そいつが誰なのか?他にネズミがいないか?徹底的に潰そうとするはずです。バーボンとライの確執も、スコッチの事件が端を発していると知られたら、バーボン=公安であると疑われるだけです。
ですが、実際はベルモットが辛うじて覚えている程度(コードネームも忘れている)で、FBI連続殺人事件を見てもジン達はそういう意味で警察を警戒する素振りはありません。
組織の幹部がスコッチ=公安だと知ったのは、スコッチの死後だったのではないかとの印象を受けるのです。
青山先生が大切な幼馴染を命がけで助けに行った人に責任を負わすとは思えないのです。
二人の対立から、赤井さんは家族愛、降谷さんは友情にシフトしています。
スコッチの事件は、捜査機関同士の連携不足と3人がそれぞれ大切な人を守るために起こした行動が交錯して起きてしまった悲劇だと思っています。
キャンバスウォッチ?(名前間違ってたらごめんなさい)でスコッチの命日と思われる日が明かされたそうですが、確か警察学校組の命日って7日でしたよね。
11月、2月、12月と1や2
7日
何か法則などがあるのでしょうか?