日本に帰国するまでの3年間、イギリスに住んでいた世良真純とメアリー世良。
メアリーの母国はイギリスなので、一見するとこの事実におかしな点はないように思えます。ですが、実は大きな矛盾も抱えているのをご存知でしょうか。
メアリー「まあ、この平和な景色を眺めながら頭を冷やして思い出しなさい…主人が死ぬ前…この安全な国に私達を送った時に言った言葉を…」
(名探偵コナン92巻より引用)
務武は17年前、家族の安全を担保するため、メアリーたちをイギリスから日本へと送りました。逆に言えば、イギリスは危険な国だということ。
世良とメアリーはなぜ、平和なはずの日本を出て、あえて危険なイギリスで3年間を過ごしたのでしょうか。今回はその矛盾を考察します。
4年前までは日本にいた
さて、まずは簡単に時系列を整理しましょう。
メアリー「まあ、この平和な景色を眺めながら頭を冷やして思い出しなさい…主人が死ぬ前…この安全な国に私達を送った時に言った言葉を…」
(名探偵コナン92巻より引用)
▲さざ波編のメアリーのセリフ。17年前、羽田浩司事件に関わっていた赤井務武は、身の危険を感じ、家族を安全な日本へと送りました。
さざ波編は10年前のエピソードなので、少なくとも17年前から10年前までの7年間、赤井家は日本で過ごしていたようです。
世良「ボクに教えてくれたんだ…ドレミの弾き方をね…」
(名探偵コナン90巻より引用)
▲そして、このシーンが4年前。当時13歳の世良は、日本の駅のホームで偶然にも赤井と会い、一緒にいたスコッチからベースを教わりました。つまり、メアリーたちは務武の指示を守り、つい4年前までは日本に住んでいたということ。
以上を踏まえると、4年前と3年前の間に何かがあったのだと予想できます。しかし一見、ここまでの流れに問題はなさそう。
なぜメアリーたちは突然、危険なイギリスへと渡欧することを決めたのでしょうか。
渡英の理由は「スコッチの存在」
結論から言うと、その理由は世良がスコッチに顔を知られたからだと思います。
当時の赤井にとってスコッチは、純粋な組織のメンバー。世良を探られたらスパイだとバレる危険性がありますし、そうなれば世良に魔の手が迫ることは容易に想像できます。
つまり、世良がスコッチと接触した瞬間、日本は安全な国ではなくなったということ。
世良「何度か乗り換えた駅のホームで秀兄に見つかっちゃって…『帰れ』って怒られたんだけど…」
(名探偵コナン90巻より引用)
▲赤井が世良を強い剣幕で叱りつけているのも、その身を案じているからこそ。赤井は温厚な性格なので、兄を追って電車を乗り継いできただけなら怒らないはず。
赤井が切符を買いに走った「空白の10分」
さらに赤井は、世良に切符を買うために10分ほど席を外しています。もしかしたらこれも伏線かも。
蘭「じゃあさっき言ってたベースを教えてくれた人って…」園子「その人なの?」世良「ああ…10分ぐらいだけだけどね…」
(名探偵コナン90巻より引用)
普通に考えて、切符を買って戻るだけなら5分もかかりません。
しかも、世良は「赤井=FBI」だと知っているため、赤井は早く戻らないとスコッチに正体を見破られてしまいます。ここでの退席はとてもリスキー。
それなのに10分も退席していたということは、赤井はこの時間内に何か重要な行動を取っていたと予想できます。
赤井はジェイムズに連絡を取っていた
ここで繋がってくるのが、この伏線です。
ジェイムズ「いやこんな娘…覚えはないな…」
(名探偵コナン73巻より引用)
ジェイムズは世良の姿を見て、瞬時に女性であることを見抜きました。これはジェイムズが世良を知っている証拠です。
おそらく赤井は空白の10分間で、上司のジェイムズに連絡を取っていたのだと思います。
内容はもちろん世良の保護。
潜入捜査はFBIの任務なので、FBIには世良を守る責任があります。ジェイムズはこのとき、世良と面識を持ったということ。
仮にこのタイミングじゃなかったとしても、ジェイムズが世良を知ったきっかけは、いずれにせよ「世良の保護のため」だったと思います。
なぜなら、スコッチに顔を知られた世良は、証人保護プログラムの適用を検討された可能性が高いから。
ジョディ「父の仲間が守ってくれたわ…証人保護プログラムを私に適用してくれて…」
(名探偵コナン42巻より引用)
▲灰原、ジョディ、新出など、組織に狙われた人物は全員、証人保護プログラムの適用を迫られています。世良は顔を知られただけですが、将来的に命を狙われるリスクはあるので、灰原たちと近い立場。
また、水無玲奈は組織に戻るとき、FBIに対して「弟への証人保護プログラムの適用」を条件にしています。これを姉の心理として捉えた場合、赤井も兄として妹の保護を考えるのは自然なこと。
安室が世良を知っている理由
とはいえ、当時の赤井はスパイだと疑われていない立場。「スコッチに顔を知られたくらいで、そんなに慌てなくても……」と思った人もいるかもしれません。
ですが、ここで世良を保護するのは的確な判断。
安室「何故ここに…」
(名探偵コナン76巻より引用)
実際にその後、安室は世良を見て「なぜここに?」と不審がっています。これは、世良が「ここにいないはず」と考えているから。
つまり、安室は過去に世良の行方を追ったことがある。
組織のバーボンとして追ったのか、あるいは降谷零として追ったのかは不明ですが、実際に世良は捜索のターゲットになっていたということ。
こうした結果を踏まえても、保護を求めるのは正しい判断と言えるでしょう。
メアリーが求めた「MI6のサポート」
さて、そんな窮地に立たされた世良ですが、最終的に証人保護プログラムは受けていません。
しかし、組織に顔を知られた以上、そのまま生活していては危険。そこでメアリーの出番です。
よく指摘されていることですが、メアリーの正体はおそらく元MI6。
さざ波編で新一が赤井を「サーカスの人」と言ったシーンは、
おそらくメアリーの正体を暗示してる。
実は「サーカス」は、映画などのフィクションで使われるMI6の呼び名。
FBIはビュロウ、CIAはカンパニー、公安はゼロなど、
過去にもさまざまな隠語を使ってきた青山先生らしい伏線だと思う。
— Hiro@名探偵コナン考察ブログ シルバーブレット (@conan_sb_black) January 13, 2019
おそらくメアリーはMI6のサポートを受けるため、イギリスへと戻ることを決意したのではないでしょうか。
確かに、務武の言葉に従うならイギリスは危険です。
しかし、それを言われたのはこの時点では13年前。かなり昔の出来事なので、現在は危険ではなくなっている可能性もあります。一方で、日本は確実に危険です。
つまり、このときのメアリーたちは、少なくとも日本に残るより海外に逃れるべき状況。とはいえ、FBIの保護を受けられそうなアメリカは、こちらも羽田浩司事件のあった危険な国です。
赤井 「安全な国なんてないんだよ母さん…」
(名探偵コナン92巻より引用)
メアリーたちは皮肉にも、この赤井のセリフみたいな状況に陥ってしまったのかもしれません。だとすれば、MI6の手を借りられるイギリスに戻るのは妥当な選択。
あくまでも仮説ですが、こうして世良とメアリーはイギリスへと渡ったのではないでしょうか。
4年前にスコッチと接触→直後の3年前からイギリスに在住という流れも、この展開ならピタリとハマると思います。
考察の結論
3 Lines Summary
- 世良はスコッチに顔を知られ、日本にいるのが困難になった
- ジェイムズが世良を知っていたのは、証人保護プログラムの対象になったから
- メアリーはMI6のサポートを受けるため、世良を連れてイギリスへと渡った
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