名探偵コナン1025話で、世良とメアリーがイギリスから帰国した理由が発覚。やはりロンドン編でテレビに映ったコナンを見て、日本へと渡ってきたようです。
とはいえ、細かく説明されているわけではないので、いまいちピンとこなかった人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、世良とメアリーがイギリスから帰国した経緯をわかりやすく解説。さらには世良がコナンを「魔法使い」と呼んでいる本当の理由にも触れていきます。
1. 世良とメアリーがイギリスから帰国した経緯
それではさっそく、世良とメアリーの帰国理由を解説しましょう。最初に見ていきたいのが、1025話で明らかになったこのシーン。

名探偵コナンFile.1025より引用
世良はメアリーの幼児化後、テレビで10年前と変わらない姿の工藤新一を目撃。メアリーと同じように幼児化していると推理し、「謎を解く鍵」になると考えました。
世良が回想しているのは、ロンドン編のこのシーン。

名探偵コナン71巻より引用
コナンはロンドン編で事件を解決するべく、テニスの国際大会「ウィンブルドン選手権」の中継に映りました。世良はその中継を見ており、偶然コナンを目撃したということ。
今更かもしれませんが、これで最近まで世良とメアリーがイギリスに住んでいたのは確定。世良の「3年間アメリカに留学していた」という発言は嘘だったわけですね。
とはいえ、もしかしたら世良たちも、この映像だけならコナンと新一を同一人物とは考えなかったかもしれません。10年前の記憶なんて当てになりませんし、他人の空似と考えるのが自然。
しかし、コナンは中継のなかで決め手になるセリフを吐きます。
コナン「ボクが助けてあげるよ!ボクはホームズの弟子だからさ!」
(名探偵コナン71巻より引用)
この「ホームズの弟子」というワードは、さざ波編での新一のセリフと一致。世良とメアリーにも聞き覚えのあるものでした。
世良「ホ、ホームズの弟子?」
(名探偵コナン92巻より引用)
これにより世良とメアリーは、「テレビに映っている少年=10年前の少年」であると推理。
「行方不明になった工藤新一は幼児化して生きている」という仮説を立て、手がかりを探るために日本へと帰国したということです。
2. 青山先生の巧みなヒント
ちなみに、世良とメアリーが中継を見ていたことを示すヒントは、実はしっかりと作中に隠されていました。それがこのセリフ。
世良「ママともよくTVでスポーツ観戦してたから…コナン君のフットボールの腕前がかなり高いっていうのもわかっちゃうんだなー!」
(名探偵コナン83巻より引用)
作中でコナンはこの「フットボール」という単語に着目し、世良がイギリスに住んでいたことを推理しました。
しかし、青山先生はこのセリフに「ママとよくスポーツ観戦していた」という第2のヒントを隠していた。非常によくできた伏線ですね。
また、71巻〜72巻でロンドン編、73巻で世良登場という展開も、こうして振り返れば、タイミングを計算して構成されていたとわかります。
表のストーリーと裏のストーリーの時系列を連動させるのは、名探偵コナンという作品で多く使われている手法の一つです。
▼水無玲奈のメールもそのパターンかも。
3. メアリーの幼児化した時期
さらに、今回のシーンから読み取れることはほかにもあります。それが、メアリーの幼児化した時期。
世良「その時、目に飛び込んできたのが君だったのさ!!」
(名探偵コナンFile.1025より引用)
「その時」という言い回しからして、メアリーが幼児化したのはロンドン編と同時期。
もし幼児化してから一定の時間が経っているなら、「そんな時」や「そんなある日」、あるいは「手がかりを探していた時」のような言い回しになりますからね。
そう考えると、メアリーを幼児化させた犯人は、つい最近までイギリスにいたということ。そして、現在がラム編であることを考えると、その犯人はおそらくラム。
高明「今の課長は紅茶党だったかと…」
(名探偵コナン85巻より引用)
だとすれば、黒田が紅茶党なのは、イギリスでラムを追っていたことを示す伏線かも。
事実、ラムの動き出したタイミングで黒田は初登場しています。もし黒田が「日本で活動を始めたラムを追って帰国した」なら、時系列的にはドンピシャ。
その他、
- メアリーがMI6の可能性が高いこと
- ジェイムズがイギリス生まれであること
- 優作にスコットランドヤードの友人がいること
など、イギリスに関する伏線は全編にわたって散りばめられています。なんとなく、物語がイギリスに向かって進みつつあるのを感じますね。
4. 世良がコナンを「魔法使い」と呼んでいる本当の理由
もう一つ取り上げておきたいのが、世良がコナンを「魔法使い」と呼んでいる本当の理由について。
世良「君にはわからないだろうな…ボクが君を魔法使いと呼んでいる…本当の理由はね…」
(名探偵コナン92巻より引用)
もしかしたらこの理由、世良がテレビでコナンを見たことと関係しているかもしれません。どういうことか説明しますね。
これまでの「魔法使い」の意味
まずはおさらいですが、そもそも「魔法使い」とは、赤井を笑わせる新一に対してつけられた呼び名。
世良「まるで魔法使いみたいだね!」
(名探偵コナン92巻より引用)
▲世良は赤井を笑わせようとして、ことごとく失敗。しかし、新一はそんな赤井をあっさりと2度も笑わせてしまいます。自分にできないことを簡単にやってのける新一を、世良は「魔法使い」に喩えました。
園子「しっかしあんた、底無しに明るいわね!」世良「そうか?まぁ昔、全然笑わない人がいてさ…」
(名探偵コナン76巻より引用)
▲また、世良は「全然笑わない人」である赤井を笑顔にしようとするうちに、明るい性格になったそうです。さざ波編以降も、何度か赤井を笑わせようと試みたのかもしれません。
さて、ポイントはこの「全然笑わない人」というキーワード。
かつて世良は、全然笑わない人を笑わせたコナンを「魔法使い」に喩えました。もしかしたら、今回も同じかもしれません。
ここからは仮説ですが、世良がコナンを魔法使いと呼んでいる本当の理由は、赤井とは別の「全然笑わない人」を笑わせたからではないでしょうか。
それは誰か。
おそらく世良自身だと思います。
世良は「全然笑わない人」になっていた
「いや、世良は明るい性格なんじゃ?」と思った人もいるかもしれません。
確かに、いまでこそ世良は明るい性格を取り戻しています。しかし、メアリーの幼児化した直後は、さすがに笑顔を失いかけていたとしてもおかしくありません。
当時の世良の状況を想像すると、
- 兄の死
- 母の幼児化
というダブルパンチで、精神的にかなりの打撃を受けたはず。
さらには「父が生きている」という情報にぬか喜びさせられたことも、それに追い討ちをかけたと思います。
けれども、組織の隠密性を考えれば、おそらく幼児化についての手がかりは見つからない。いくら前向きな性格といえど、17歳の少女には辛すぎる状況です。
そんなとき、希望の光となったのが、突如テレビに映った「10年前に兄を笑わせた少年」。世良はコナンを手がかりにすることで、笑顔を取り戻したのだとしたらどうでしょうか。
- 自分にできないこと(手がかりの発見)を簡単にやってのける
- その結果、全然笑わない人を笑顔にする
さざ波編と全く同じ「魔法使い」の再来ですよね。
「君にはわからないだろうな」の意味
世良「ボクが君を魔法使いと呼んでいる…本当の理由はね…」
(名探偵コナン92巻より引用)
だとすると、このシーンで世良がうっすら頰を染めているのも、感謝の表れというか、ヒーローを見るような気持ちに近いのかも。
少なくともさざ波編を見る限り、世良がコナンに頰を染める動機はなさそうでした。
つまり、世良は空白の10年間のどこかでコナンに特別な感情を抱いたことになるので、この可能性はあると思います。
また、今回の説なら、世良が「君にはわからないだろうな」と考えている理由も説明がつきます。
つまり、コナンには「魔法使い=赤井を笑わせたから」までは想像できるけど、「魔法使い=世良も笑わせたから」までは想像できないということですね。
考察の結論
ということで今回は、世良とメアリーの帰国理由を中心に考察しました。
魔法使いと呼んでいる本当の理由については、ほかにもさまざまな可能性がありますので、改めて考察したいと思います。
3 Lines Summary
- 世良とメアリーはイギリスでコナンを目撃し、幼児化の謎を解くために帰国した
- メアリーの幼児化した時期はロンドン編と同時期
- 世良がコナンを「魔法使い」と呼んでいる本当の理由は、「全然笑わない人」になっていた自分を笑顔にしたから
いつも興味深く考察を読ませて頂いております。
文中で”物語がイギリスに向かっている”とありましたが、安室が緋色シリーズの際に「question」の発音をイギリス英語の「クエッション」にしていたことから、安室もイギリスに関係あるのかな…?とも考えました。(前に考察にでてたらすいません)やはり物語の終着地点はホームズシリーズの舞台であるイギリスなんでしょうかねぇ…?長々と失礼しました。これからも考察楽しみにしております。
いつもご覧いただきありがとうございます!
クエッションの発音については、安室とイギリスの関連を示す伏線の可能性はありますね。特に安室はハーフなので、両親のどちらかがイギリス人という展開はありそうです。
物語の終着点がホームズの舞台になる予感はします。一方で、烏丸のメールアドレスに設定された「七つの子」は日本の童謡なので、烏丸の精神的なバックボーンや「始まりの地」はやはり日本であるとも思います。
今後の展開がどうなるか楽しみですね! ぜひまたお立ち寄りください。
以前、黒田管理官の記事でコメントさせていただいた者です。
今回も素晴らしい考察に感服しております。
さて、私が1つ疑問に思っているのが、「メアリーのパスポート」です。
私もメアリーはイギリスで幼児化し、そのときにコナンの姿をテレビで観て帰国したのだと思うのですが、
そうなると、メアリーはどうやって海外渡航したのか、というのが疑問になっています。
メアリーが何らかの方法で密入国した可能性も考えられますが、どうなのでしょう?
Hiroさんはその点についてどうお考えでしょうか。
お返事お待ちしています。
今回もコメントありがとうございます! 拙い考察ですが、お楽しみいただけて嬉しいです。
メアリーのパスポートについては、MI6に手配させたのかなと思っています。メアリーにはMI6であることを示す伏線がたくさんあるので。
メアリーは解毒剤を持っていないため、CORBEAUさんのおっしゃる通り、正攻法で入国することは不可能です。それなのに日本にいること自体が「メアリー=MI6」の根拠になると考えています。
お忙しい中、返信していただきありがとうございます。
なるほどですね。メアリーがMI6だとすると、あり得る話ですね。
同じく私もメアリーとMI6にはつながりがあると踏んでいます。
記事の内容とは少し違いますが、Hiroさんは赤井務武の所属についてはどうお考えでしょうか?
私は羽田浩司殺害事件に直接関わっていたことと、90巻の赤井秀一の「FBIではないが…」という
口ぶりからして務武は何かしらの捜査機関に所属している(していた)のでは、と考えています。
Hiroさんの考えを聞きたいです。
もしよろしければまたお返事ください。
お返事遅くなってごめんなさい!赤井務武の所属については色々考えられますが、おそらくMI6だと思います。
大前提として、CORBEAUさんの言う通り、務武は何らかの組織に所属してた可能性が高いです。もし務武が無所属でメアリーが元MI6だと仮定した場合、「とんでもない奴らを敵に回した」→「それならMI6を頼ろう(情報提供しよう)」となるはず。そうなってないのは、務武が「ただの個人」以上の力を持っていたから。
その先は消去法ですよね。FBI所属ではないし、CIAを今さら掘り下げる意味もない。公安はギリギリあり得ますが、そもそも他国の諜報機関の捜査官同士で結婚は難しそう。となると、残るのはMI6で同僚だったというパターン。
それを後押しするヒントが、務武とメアリーのメールのやり取り。2人は英語で会話しているため、出会ったのはイギリスだと予想できます。そんな感じで、務武の所属はMI6だったと踏んでます!
お忙しい中、お返事ありがとうございます。
私も二人ともMI6で同僚だったというのが一番可能性が高いと考えています。
赤井家の元々いた国がイギリスであることと、務武が日本人であることを考えると、
務武とメアリーが知り合ったのはイギリスである可能性が高く、
それは務武がMI6に所属していたからだと思います。
今回も丁寧にコメントしてくださり、ありがとうございます。
今後もHiroさんの考察記事を楽しみにしています!