名探偵コナン「ゼロの執行人」ネタバレ感想&考察。黒田兵衛の正体はウラ理事官?6つの根拠を解説

劇場版名探偵コナン「ゼロの執行人」見てきましたー!

コナンと安室の正義感の衝突、公安警察の悲しき宿命など、見どころたくさんの映画でしたね。新監督としてタクトを振るった立川譲さん、良いお仕事をされたのではないでしょうか。

 

ところで、皆さん一番気になっているのが、黒田兵衛の“あのシーン”だと思います。

ネット上ではさまざまな議論も交わされていますが、個人的には答えは出ているので、今回はそのあたりを中心に感想・考察を書こうかなと。

 

その他、黒の組織編と関連しそうな安室の描写なども紐解いていきます。ネタバレありの感想・考察なので、映画を未視聴の人はご注意ください!

 




黒田兵衛のセリフは「ぬかるなよ、バーボン」

物語の後半、黒田は安室に無人探査機「はくちょう」の迎撃を命じ、電話口で「ぬかるなよ、○○」と伝えました。

この「○○」は口パクになっており、「ゼロと言ったのか、バーボンと言ったのか」という議論を巻き起こしています。

結論からお伝えすると、これは「ぬかるなよ、バーボン」と言っていると思います。

 

根拠1. 口を3回動かしている

まずは口パクのシーンを振り返ってみましょう。

ああ見えた、こう見えたと言い合っていても印象論になってしまうので、どんな口の動きだったのか「口を動かした回数」「口の形」「一音ごとの時間」に分解して考えます。

 

言うまでもないですが、口を動かした回数は3回でしたね。そして、口の形は以下の通り。

  1. 口を大きく横に開けて1文字を発音
  2. 口を小さくすぼめて1文字を発音
  3. 最後に口を閉じる

この口の動きは、「ゼロ」と「バーボン」どちらに当てはめても成り立ちます。

ゼロの場合:①=ゼ ②=ロ ③=言い終えたので口を閉じる

バーボンの場合:①=バー ②=ボ ③=ン

 

これこそが、「ゼロに見えた」「バーボンに見えた」という意見の分断の正体。要するに、口を動かした回数と口の形だけを見れば、どちらでも正解なわけですよ。

つまり、口パクを読み取る上で大切なのは、「一音ごとの時間」ということ。口を動かした回数と口の形に注目しても、真相にはたどり着けません。

ちなみに、一部では「安室」「降谷」と呼んだとする説もありますが、こちらは口の形すら一致しないため可能性は低いかなと。

 

根拠2. 最初の音を長く発音している

では、黒田はそれぞれの音をどれくらいの時間、発音していたのか。

最も長く発音していたのは、最初の音。①「口を大きく横に開けて1文字を発音」の部分ですね。

 

そう考えると、黒田の発した言葉は「バーボン」。

「ゼロ」の場合、「ゼ」と「ロ」、2つの音の間隔はほとんどありません。そのため、最初の音を発音する時間も短く収まるはず。

 

こうしたシーンは演出の都合上、スローモーションにされているケースも多いですが、今回のシーンはそうではありません。②と③の口の動きは矢継ぎ早に行われているため、作中の時間の流れに変化はないとわかります。

 

「ゼロ」の可能性も残っている

以上の理由から、黒田は「ぬかるなよ、バーボン」と言っているのは確定的。ただし、「ゼロ」と言っている可能性も絶たれたわけではありません。

というのも、今回のシーンは映像だけを根拠に推理するのは危険だからです。

 

少し制作側の意図を考えてみましょう。おそらく今回のシーンのアイデアが出たのは、「ゼロ」と「バーボン」の口の動きが似ていることに制作側の誰かが気づいたから。

となると彼らの意図は、「ゼロにもバーボンにも見える口の動き」を作り出すことです。それにより「ゼロか、バーボンか」というファンの議論を促し、映画の話題性を高めたり、原作への期待感を煽ったりできます。

この仮説が正しいとすると、制作側はゼロなのかバーボンなのか判別しづらいスレスレの映像を作ってくる。つまり、もし黒田が「ゼロ」と言っていたとしても、視聴者が「バーボン」と錯覚するくらい最初の音を長く見せる可能性もあるわけです。逆も然りですけれど。

 

そう考えると、黒田のセリフを「ぬかるなよ、バーボン」と断定するのは尚早。確率は限りなく低いですが、「ゼロ」と言っていた可能性も捨てきれないのが実情です。

とはいえ、実は黒田のセリフが「ゼロ」でも「バーボン」でも、彼の正体を考察することにあまり影響はありません。理由は後述しますね。

 

▶︎次のページでは、黒田兵衛の正体とその根拠を解説。

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21 件のコメント

  • 黒田が公安というのは間違いないでしょう。
    しかしそれはラムを否定するものではない。
    つまりラムとは黒田(公安から潜入のスパイ)

    • 組織のNo2までスパイだったら記事内でも言われてるようにギャグにしかなりませんよね笑笑

      本編で言われないとわかりませんが、黒田=ラムor黒田=公安の選択肢しか無いと思いますね

      • >鹿波さん

        同感です!黒田がスパイでナンバー2までのし上がったとかだったら、もはや主人公交代していい活躍ですよね(笑)。スコッチも自殺する必要なさすぎますし。

        残るは黒田=ラムで公安に潜入していたパターンですが、その場合、映画でのやり取りからして安室もそれを知っていることに。安室は自分の正義を貫く人物なので、黒田をラムと知りながら公安の実権を握らせることはしないと思います。

  • 私は安室が恐れているのはベルモットなのかと思いました!安室とベルモットが血縁関係にある可能性はないでしょうか?二人ともあのお方と関連するとか?髪色が同じなのが気になります。その血縁こそがベルモットの秘密(年齢など)を暴く鍵となり、それが安室の握っているベルモットの秘密…みたいな!以前の車内でのやりとりも家族の口喧嘩っぽい気がしました。
    ベルモットとバーボン(ライでも可)のカクテルにマンハッタンと呼ばれるお酒が存在します。カクテルの女王と呼ばれるお酒なので、この二人と関連する人物があのお方ってこともあるといいなーなんて。
    この考え方の場合、安室さんは二重スパイではなく、公安にスパイとしている組織の人間になってしまいます。赤井とライバルの関係(ガンダムのアムロとシャアの関係)であるのでそうだといいなという願望も込めてます(笑)
    以前はジュディ先生と安室の目の色が同じ回があったので、実は保護プログラムをうけたきょうだい!?と思うこともあったのですが、ベルモットのほうがワクワクする展開な気がしたのでそうしました。
    だいぶドリームな考察になってしまいましたが、我慢できずコメントしました。すみません。

    • コメントありがとうございますー!お返事遅くなりました!

      なかなか面白い考察ですね! ジンですら知らないだろうベルモットの秘密を安室だけが知り得たことに理由があるのは確かですよね〜。おそらく安室が初恋の相手であるエレーナを調査し、そこからベルモットの秘密に辿り着いたと踏んでいましたが、最初からベルモットと何らかの接点を持っていたなら納得です。

      一方で、安室は自分がベルモットに殺されたときに備えて仕掛けを施しているので、ベルに親愛の情はなさそうなんですよね。あとは、ベル側は安室が公安だと気づいてないので、その辺りをどう説明できるかもネックになるかもしれませんね。

      また面白い考察をした際には教えてくださいー!私は理屈っぽく考えちゃうので、新規性のある説はあまり思い浮かばないので助かります〜(笑)。

  • はじめまして、コメント失礼致します。

    実はコナンを読んでいたのはかなり昔なのですが、黒の組織のボスが遂に判明と最近耳に挟んだので、ネットを検索して色々調べていたところこちらに辿りつきました。

    記事を一通り読ませて頂いたのですが、登場人物を全然知らなくてもワクワクする考察ばかりで、今ではまた一から読んでみたいと思うようになりました。

    こちらに辿り着くまでに他のサイトやブログも見てみたのですが、記事の内容の充実度やデザインなども含めて1番面白かったです。サイトやブログに関して無知なのですが、これは管理人様がご自身でデザインされたものなのでしょうか?(本当に見やすいです)

    結局コナンの話に関係ないことばかりですみません。これから単行本読んでいくつもりなので、話を理解した上でまたこちらの記事見に来させて頂きます。

    • コメントありがとうございます!予想外の高評価めちゃくちゃ嬉しいです〜!

      ブログに関してはテンプレートは導入してますが、基本的には自分でカスタマイズしてデザインしてます。考察という小難しいテーマを扱う以上、見やすさとわかりやすさは気をつけていたので、ご評価いただけてありがたいです。

      コナンはちょっとした日常回に伏線が潜んでいたり、頑張って考察したらある程度答えも出るように作られているので、ぜひ一から読んでみてください!その際には考察談義しましょう〜(笑)

  • はじめまして、いつも考察を楽しく読ませていただいています。
    私、コナンくんの誕生日である今日5月4日にゼロの執行人を観に行ったのですが、記事になさっている黒田の口パクについて、やはりバーボンが正しいと思います。というのも、口パクする際に、口が一度閉じていた(唇がくっついていた)ので、高木刑事が監禁された事件のときのような推理で、バ行の入っている[バーボン]の方が正しいんではないかと思いました。まとまっていない推理(といえるのかな?笑)ですが、どうでしょうか??

    これからも楽しく読ませていただきます!!頑張ってください(^-^)/

    • コメントありがとうございます!粋な日に映画を観に行かれていて羨ましいです(笑)。

      おお、唇をくっつけて発音してたんですね。口を閉じた状態からラムと言っても唇をくっつけた状態からのスタートになりますが、それとは別な感じですか?であれば、よりバーボンと言っていた可能性は高いと思います!

      応援励みになります〜!これからも楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

  • 黒田は公安のボスで、安室の潜入捜査そのものを指揮する立場かな、と私は思います。なので、ラムではないと考察します。また、安室はラムが誰だか知らないと思います。これも、黒田がラムではないと考える理由の一つです。

    『純黒の悪夢』の最初のシーンで、キュラソーのオッドアイを見たとき、安室は驚いていましたよね。あれは、彼女がラムかと思い驚いたわけなので、安室はラムを知らない。だから、黒田がラムだと色々と辻褄が合わなくなりますよね。

    これからも、記事を楽しみにしています!

    • コメントありがとうございます!

      おお、恥ずかしながら実は純黒は一度しか視聴しておらず、キュラソーの描写は完全に見落としていました。それを踏まえると、確かに安室はラムを知らないことになりますね。

      安室がラムを知っていた場合、原作で優作たちと共闘したらラムの正体も明かされちゃうなーと思ってたんですが、それもわからなくなりそうです。

      これからもぜひご覧いただけましたら幸いですー!

  • こんにちは。
    とても興味深い考察でなるほどなーとおもいました!
    2人の怖い男に感じでは先日発売したシークレットアーカイブスで青山先生がコナンと赤井だとおっしゃってましたね。
    今後も記事楽しみにしております!

    • コメントありがとうございます!納得感あったならよかったです!

      怖い男は赤井でしたね〜。他人の心理に敏感な安室ですが、自己分析もしっかりできているということかもしれないです。外からは恐れているように見えないけど、内側では恐れを自覚して受け入れていると。強い憎悪の中でも冷静に理性を保っている、安室はそういう人間なのかなあと思います。

      応援励みになります〜!ぜひまた来てくださいね。

  • はじめまして。コメント失礼します。
    感想、考察とあってカテゴリ違いかとも思いましたが映画のよく練られた展開に思わずコメントしたくなりました。
    全体の考察とは違いますが、映画で
    「君の言う『安室透』という男は人殺しだ」からのシーンで「自殺に追いやった」のところでカラスが飛んでいくカットがありました。
    カラス=黒の組織、自殺に追い込んだ、つまりはスコッチのことをこんなワンカットで表現するなんてとにづいた時思わず呆然としてしまいました。
    それに、まさかスコッチのことを触れると思っていなかったので………
    Hiroさんは作中でそういった発見をしましたでしょうか?
    ありましたら今度注目したいのでぜひ教えていただきたいです

    • 風見の、安室が「自殺に追いやった」という発言。これはスコッチのことではありませんよね。映画の登場人物、羽場二三一が、安室の取り調べの後に自殺したことを指しているのです。実際は、自殺したことにして生きていたわけですが、風見はそのことを知らなかったので、「安室という男は人殺しだ」という発言になったわけです。

    • コメントありがとうございます!

      確かに、めっちゃ面白い解釈ですね!!普通に演出上の描写かと思って気づきませんでした。今作には他にもウィットに富んだ皮肉が描かれているかもしれませんね。私は推理するのに夢中で、そういったところ全く拾いきれてなかったです…。

      「映画で注目するべきポイント」という意味で言えば、コナン映画は「Aという伏線を、次に出てきたBやCという伏線で推理できる」設計になってるので、そういった目線で見ても面白いかもしれません。たとえば、風見と境子の繋がりが示された後に「協力者」というワードが出た時点で、二人の関係性は推理できる、など。

      作品の傾向をつかむのもコツで、たとえば、序盤でドローンが出た時点で「今作はテクノロジー盛り込んでくるんだな」と解釈する。そうすると、家電やPCが爆発するシーンで「IoT家電を狙ったサイバーテロだな」とすんなり推理できるわけです。

      別角度の回答になっちゃいましたが、私から言えそうなのはそんな話くらいでした…(笑)。

  • 劇場に2回足を運んで分かった事を書きます。
    黒田の電話相手は赤井かもしれません。
    というのは通話中の黒田のスマホに「アンドレ」という文字が見えました。
    爆風でよくわからないシーンですが赤井がどこからか衛星のパラシュートロックを撃ち抜いたのかもしれません
    後者はただの予想ですが前者のアンドレは本当です。キャメルですよね。

    • 「アンドレ」じゃなく「アドレ」ではありませんでしたか? めちゃくちゃややこしいんですが、多分「アドレス」です(笑)。

      仮に「アンドレ」だとしたら、通話画面に表示されてる名前なので通話相手=キャメルということになります。キャメルに「ぬかるなよ、○○」と口パクの演出をしても仕方ないので、おそらく「アドレス」だったんじゃないかな〜って思います…!

      • あれ?そうだったんですかね笑
        でもあの画面にアドレスって出るのは不自然じゃないですか?
        通話ですよね
        でもエクスペリカンは出るのかな笑
        となると「ゼロ」でしょうか

        • 画面の描写がうろ覚えなのでなんとも言えませんが、確かにそれは思います。エクスペリカンは出るのかもしれません(笑)。

          記事に書いた通り、個人的には「バーボン」派です!口の形はもちろんのこと、最初の音の長さからして「○ー○○」なので、バーボンかなと。黒田はゼロを統括する裏理事官だと思ってます。

  • 安室の「愛の力は偉大」というセリフは、コナンの正体を新一だと気づいたからではなく、安室が幼少期に年上のエレーナに恋をした経験から、同じく年上の蘭に恋をしているコナンに共感したためではないでしょうか?
    それだったらつじつまも合うし、ほっこりしますよね(笑)

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    ABOUTこの記事をかいた人

    子供の頃にベルモットの変装トリックに騙されて以来、生粋のコナンファン。考察は「DEATH NOTE」などにも似た頭脳エンタメだと思います。読み物として面白くなるように「わかりやすさ」と「サプライズ」を大切にしています。本業も物書き。