安室透の特徴とスキルを考察。実は“メンタリスト”?洞察力と情報収集能力の定義とは?【名探偵コナン考察】

トリプルフェイスを持つ男、安室透。

私立探偵「安室透」であり、黒の組織の「バーボン」であり、公安警察「降谷零」でもある。

複数の“仮面”を使い分ける彼の本質はどこにあるのか?

 

そんな特集「トリプルフェイスの素顔」第1回では、安室透の特技とスキルをプロファイリング

情報収集能力・観察力・洞察力の定義、そして天才的な10の能力を考察していきます。

 

安室透の情報収集能力

水無怜奈「組織の新しいメンバーが動き出した!情報収集及び観察力・洞察力に恐ろしく長けた探り屋で、コードネームは…」
(名探偵コナン60巻より引用)

安室透の代名詞とも呼ぶべき能力、情報収集能力・観察力・洞察力。しかし、「情報収集能力に長けている」と言われても具体的にどんな能力なのかピンとこない人も多いのでは。

今回はもう一歩踏み込んで、安室の持つ能力を具体的に分析していきます。まずは「情報収集能力」から。

 

じつは情報収集能力は、大きく2つのタイプに分けられます。

ひとつは「他力本願タイプ」。人脈やネットワークの広さを生かし、情報との接点を増やすことで情報網を構築する手法です。

もうひとつは「個人能力タイプ」。巧みな話術で情報を引き出したり、企業に潜入して機密情報を入手したりする手法です。探偵小説の主人公はこのタイプが多いですね。

言わずもがなですが、安室は後者のタイプです。

 

安室透は“メンタリスト”?

なかでも安室の真骨頂とも呼ぶべきは、人の心理を操るマインドコントロール術。これを駆使し、安室はあらゆる情報を入手してきました。

 

安室「すごいね君は…」
(名探偵コナン84巻より引用)

コナンを見事に出し抜いたシーン。

安室はコナンに「楠田陸道という男を知っているか」と聞き、「知らない」と即答されたことから面識があると見抜きました。本当に楠田を知らないなら「それってどんな人?」と聞き返すはず、という理屈ですね。

この場面、「知っているか」と聞いてもコナンが「YES」と答えないのは明白。つまり、安室はコナンに知らない振りをされると見越した上で、「どのように知らない振りをするか」に罠を張っているわけです。

安室はこうした心理的な死角を突くのが上手い。

 

安室「お二人はパスワードとかどうされてます?」蘭「生年月日とか…」小五郎「俺は『小五郎さん』で5563だが…」安室「あ、いや、とても覚えきれないパスワードの場合ですけど…」小五郎「俺なら紙に書いて誰も見ねぇようなこういう場所に…」
(名探偵コナン76巻より引用)

一石二鳥の機転が利いたシーン。メモの隠し場所を教えつつ、小五郎のパスワードも聞き出しています。

質問選びが絶妙で、「パスワードとかどうされてます?」とあえて抽象的な言い回しをしている。これにより「パスワードの隠し場所を聞いただけ」というポーズを作りつつ、実際は「小五郎のパスワードの内容」を聞いています。

 

コナン「そうやってあおってプレッシャーをかけて…仲間のジョディ先生が現れたら気が緩んで口が軽くなる…その心理を利用されたんだよ!!」
(名探偵コナン84巻より引用)

安室はキャメルを挑発し、最後はジョディに扮したベルモットによって情報を聞き出すという作戦を立てます。そして、結果は見事成功。

人間は緊張状態に置かれ、その後危機を脱すると必要以上に安堵してしまうもの。安室はこうした人間心理を熟知し、利用する術も心得ています。

 

安室「それに君ならうっかり口を…滑らせてくれそうだから…」
(名探偵コナン84巻より引用)

キャメル挑発時のこのセリフ。

本当に口を滑らせることを期待するなら、下手に警戒させないために「口を滑らせてくれそう」とは言わないはず。

キャメルに対し、架空の弱点やコンプレックスを植えつけることで、絶対に口を滑らせまいとする緊張状態へと陥らせるのが狙いでしょう。

 

安室「現在、私の連れがあなたのお仲間を拘束すべく追跡中…流石のあなたもお仲間の生死がかかれば…素直になってくれると思いまして…」
名探偵コナン85巻より引用)

緋色編で沖矢昴に正体を明かすよう迫るシーン。

ジョディとキャメルを追っているのは公安の人間なので、実際に生死はかかっていません。安室の狙いは、部下を使ってジョディとキャメルを追い回し、あたかも組織の人間を動かしているように見せかけること。

この作戦は「安室=公安」だと赤井が見抜いていたために失敗しましたが、安室の嘘の上手さも光っていました。

 

コナン「くそっ!大体何ですぐ気づかなかったんだ!?奴らがあんな大ポカをやってたっていうのに…」
(名探偵コナン81巻より引用)

安室とベルモットは変装して夫婦を名乗り、コナンの前に現れました。

コナンはその場では変装に気づかなかったものの、のちに旦那の弁崎桐平は独身だと発覚。コナンはこれを安室たちの「大ポカ」と考えますが、すぐに罠と気づいて下手な行動を慎むことに。しかし、その様子を安室は陰から観察していました。

 

この一件、安室はあえて弁崎本人との矛盾を作り、コナンに変装を気づかせることで、リアクションを引き出しています。

失敗を装って相手を誘い、カウンターパンチを繰り出すのは「追われる側」としては有効な策。赤黒クラッシュ編においては、赤井も同様に楠田を泳がせていました。

 

このように、安室の「情報収集能力」とは、マインドコントロールを駆使した情報のあぶり出しによるところが大きい。そしてこの能力こそが、安室を単なる探偵以上のスペシャルな存在へと昇華させています。

 

安室透の観察力・洞察力

次に「観察力」と「洞察力」を見ていきましょう。

よく比較される二つの言葉ですが、似て非なるもの。ざっくり定義するなら、観察力とは「視覚情報から物事を見つける力」、洞察力とは「それを瞬時に分析する力」でしょうか。

安室は双方を兼ね備えることにより、人の仕草を読み取ったり、瞬間的に状況を把握したりする能力をハイレベルで身につけています。

 

火傷赤井に変装したのも、観察力・洞察力に自信があったからこそ。

表情やリアクションを読み取れなければ、この作戦は成り立ちません。観察眼の乏しそうなウォッカや、人の感情に疎いジンにはできない手法。

 

驚異的な観察スピード

また、純粋な観察力・洞察力も去ることながら、驚くべきはそのスピード。安室は視覚情報の解読がとにかく早いです。

 

安室「あの時、アイツの右手は血まみれだったのに…親指の先と手の甲には血が付いてなかった…つまりアイツが自分で引き金に親指をかけ…自分を撃ったという事…」
(名探偵コナン90巻より引用)

スコッチの死因を分析するシーン。

親友が命を落とし、冷静さを失っていたにも関わらず、即座に自殺を見抜いています。いかにも赤井に殺されたと思える状況で、この観察眼は並外れたもの。

 

安室「ざっと見た感じだが…玄関先に2台…廊下に3台…そしてこの部屋には5台の隠しカメラが設置されているようだ…」
(名探偵コナン85巻より引用)

「ざっと見た」だけで、工藤邸の隠しカメラを次々と発見。

10台のカメラを見つけるためには、10箇所以上の場所に目を配らなければならないはず。部屋に通されるまでの短時間でそれを実行するには、かなりの空間把握能力を求められます。安室はテニスやボクシングも得意ですが、人一倍「目」がいいのかも。

 

安室「下駄箱には男物の靴しか入っていませんし…洗濯機の中もクローゼットの中も…衣類は全て男物ばかり…」蘭(っていうか、こんな短時間でそんなに調べたの?)
(名探偵コナン75巻より引用)

安室の短時間での調査力に蘭も驚いています。怪しい場所をすぐに見分けられるため、調査スピードも自ずと上がるのでしょう。

 

安室「この前お会いした時は右手でマスクを取られていたので…右利きかなぁと…」
(名探偵コナン90巻より引用)

マスクを取る手さえも見逃さず、沖矢の利き手の違いを見抜いている。

 

コナン「事件の真相を瞬時に見抜く…あの洞察力…」
(名探偵コナン84巻より引用)

コナンも安室の特徴について、真相を“瞬時に”見抜く点と考えています。

最近は推理力の高いキャラクターがたくさん登場しましたが、推理の手法はキャラごとにさまざま。たとえば、羽田秀吉は記憶力を、大岡紅葉は音楽センスの高さを武器にしています。

安室の場合はそれこそが「観察スピード」なのでしょうね。

Twitterでもショートな考察を更新中。








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ABOUTこの記事をかいた人

子供の頃にベルモットの変装トリックに騙されて以来、生粋のコナンファン。考察は「DEATH NOTE」などにも似た頭脳エンタメだと思います。読み物として面白くなるように「わかりやすさ」と「サプライズ」を大切にしています。本業も物書き。